#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

「地域で働き、世界を見据える」オーダーメイド作品を提供する木工作家 沖原昌樹さんインタビュー #美又PJ

島根県浜田市金城町美又の「農協さん」(旧農協、旧美又信用購買販売組合)の修繕・改修に向けたクラウドファンディングでは、木工作家によるオーダーメード作品という返礼品(リターン)があります。担当する沖原昌樹さんは、木と向き合いながらオリジナル作品を世界に発信しています。「木の魅力、地域の魅力を存分に知ってほしい」と話す沖原さんに、今回のプロジェクトや木工への思いを聞きました。

沖原さんは浜田市の組子細工で知られる吉原木工所で働き、昨年独立。浜田市弥栄(やさか)町で、アトリエ・ギャラリー「ハーベンウッドワークス」を立ち上げました。JCEJはクラウドファンディングを行うにあたり、島根の工芸品や食品を取り揃えるセレクトストアYUTTEを運営する企画会社「シマネプロモーション」に島根のクリエイターや職人の方にリターンをお願いできないかを依頼し、沖原さんとのプロジェクトの監修を依頼しています。

中国山地の広葉樹を使ったトレイを制作しよう

Q. 今回の返礼品については、どのようなものを考えていますか?

「シマネプロモーション」からお声がけいただいた時は、断ろうとは全く思いませんでした。面白いプロジェクトで、ぜひ地域に貢献したいと思っています。

中国山地の広葉樹を使ったトレイを制作しようと思っています。実用的で、使っていただけるものがいいと思いました。通常、トレイは平らな板の部分と、フレームの部分を分けて制作した方が「楽」なのですが、今回は一枚の木を削り出して制作する予定です。

寄付者の方には、地元木材の広葉樹の中から木の種類を選んでもらい、希望があれば工房もぜひ見学してもらいたいです。

木工の仕事がしたいと浜田に

Q. 山口県出身の沖原さんが浜田市で働くことになったきっかけを教えてください。

大学生の頃から木工や家具が好きで、卒業後に木工の学校にも行きましたが、既製品を製造する日々で理想と現実の違いを感じた時期もありました。その後、青年海外協力隊としてアフリカ・マラウイで数学を教えたりもしました。

帰国後、やはり木工の仕事がしたいと思い、ネットで見つけたのが島根県浜田市にある吉原木工所のブログでした。そこで2012年から約10年働いて昨年独立しました。

北欧の家具が好きなのですが、今の工房はフィンランドの建築です。アトリエ・ギャラリーの「ハーベン」はフィンランド語でヘラジカといった意味で、ヘラジカは「森の王様」とされています。私がつくる製品には、大好きな北欧や李朝のスタイルをよく取り込んでいます。シンプルな生活や狭小住宅でも使っていただけるように、コンパクトな家具も多いです。

木は磨くことで本当に蘇る

Q. 木工の魅力はどこにありますか

木は、鉋(かんな)をかけたり、磨くことで、本当に蘇るんです。木工体験ではボールペンを作ってもらったりしていますが、15センチくらいの角材を削りボールペンになると、本当に感動します。

家具など部材を組み合わせて立体をつくる面白さや、生活に入っていって癒しになる面白さもあります。木の種類(樹種)によって、香り、硬さも違います。例えば同じ樹種でも木目が違ったりと、全てがオンリーワンなんです。

木製品をつくるすべてが揃う貴重な場所

Q. 沖原さんから見て中国山地や島根の魅力はなんだと思いますか

山は日本どこにでもあると思うんですが、ここは山から木を切り出し、搬出し、乾燥させ、材料にすることができる環境があります。そしてその後、木材を加工し、木製品を作る環境もあります。地域の木を使って木工ができる、貴重な場所なんです。

豊かな自然で「ひとりになる」こともできます。都会ではなかなか難しいですよね。

「過疎」という言葉の発祥と言われる島根県益田市の匹見(ひきみ)には、すごく綺麗な川があります。豊かな自然で、一人っきりで川にいることができることは、とても楽しいです。

この地域で働いていて、地域に関わる仕事をさせてもらえるのはとても光栄です。  

Q. 共存同栄の言葉については

いいなという思いと、なんか硬いな、昔ながらの経済みたいだなと思いました。

私自身は、地域にいるからという理由だけでお仕事を頼んだりはしない。近いから頼まれた、とは思われたくない。選ばれたい。地域で働き、世界を見据えたものづくりをしたいですね。

クラウドファンディング、希望者は工房見学も

沖原さんが製作するオーダーメイド作品がリターンとなっているクラウドファンディング。リターンは「共存同栄」の理念を大切に、地元島根県を中心に活躍するデザイナーやクリエイターと新たに開発してお届けします。石見焼マグカップ、手ぬぐい、などがあります。ぜひクラウドファンディングのページでリターンをご確認頂き、ご支援を頂けると幸いです。

readyfor.jp

9月26日(火曜)20時から沖原さんも参加頂き、『みんなで「農協さん」の活用方法を考えるカイギ』を行います。温泉に入るようにゆるりとご参加ください!参加方法などはクラウドファンディングの活動報告:オンラインイベント第4回のゲストは木工作家の沖原昌樹さん(浜田市弥栄町)ですをご確認ください。