#JCEJ 活動日記

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「石見の特徴を生かしたい」石見焼マグカップを提供する宮内窯・宮内孝史さんインタビュー #美又PJ

島根県浜田市金城町美又の旧農協(旧美又信用購買販売組合)建物を修復するだけでなく生かすためのクラウドファンディングでは、リターン(返礼品)を建物のシンボルである「共存同栄」の理念を第一歩として進めています。オリジナルマグカップを開発していただく江津市にある石見(いわみ)焼の窯元・石州宮内窯を訪問しました。宮内孝史さんは「石見の特徴を生かしたい」と語ってくれました。(JCEJ運営委員・田中輝美)

旧農協のある浜田市とお隣・江津市を含めたエリアは石州(せきしゅう)と呼ばれ、古くから作陶が行われていました。宮内さんは二代目で宮内窯を継いで38年になります。

Q、宮内窯について教えてください。

初代の父・宮内謙一は同じ江津市内にある石見焼の窯元・嶋田窯に生まれました。いくつかの窯場を経験して独立したのが宮内窯です。自分は長男で、紹介してもらった愛知県瀬戸市の訓練校に入り、その後岐阜で修業して23歳で帰ってきました。他の仕事をしたことはありません。特に「継ごう」と考えていたわけではないのですが、他になりたいものもなかったですし、昔は家に登り窯があって、部屋の片隅で父と一緒に過ごしていました。少し変わったことなので楽しかったですし、日ごろから見よう見まねでやっていて、窯屋の子はそうやってイメージトレーニングになっている。そこが一般の人とは違うかもしれませんね。

Q、石見の作陶の特徴はあるのでしょうか。

都野津(つのづ)層というここの土は、塩分に強く、耐水性、耐酸性を兼ね備えていたことがあります。石見焼は、固く閉まって、塩分や水気に強いので、水がめや梅干しなどを保管する「ふたつぼ」などもつくられてきました。もともと大物と言われる大型の日用雑器が主で、代表的な品は「はんど」と呼ばれる大型の水がめでした。近年は生活様式も代わり、大物は少なくなってきて、現代の生活に沿った実用的なものをつくるようになっています。

石見焼の特徴はお客さんが教えてくれる

Q、どんな商品が人気ですか。

ふたつぼ、すり鉢は安定的に注文があります。実際に展示会で他の地域に行くと「石見のふたつぼやすり鉢は壊れない」と言われます。水や塩が染みないからです。全国的に人気の食器などをつくっても、なかなか勝てんというのもあります。それと競うよりも、石見の特徴のものをつくっとかんと生き残れん、そういうのをつくってみようと考えました。

売れ行きを見ながらアイテムも考えます。お客さんとのやりとりの中で気づかせてもらう感じです。そうしないと、世の中変わっていくし、売れないようなものをつくってしまうことになります。若いときはあまり考えていなかったし、石見焼の特徴も何かよくわかっていなかったですが、お客さんが教えてくれました。

Q、作業の行程を教えてください。

粘土づくりから始まって、混ぜ合わせて、整形、仕上げ、化粧がけ、模様をつけて、乾燥、素焼き、薬をかけて乾燥、大きな窯で焼いて、窯出し、出荷。その合間に釉薬づくりもある。一連の行程を、一人でやっているのは珍しいかもしれません。体力勝負です。焼き上げまで見て、まともなのが出てきてようやくです。出せる品物になるか気が抜けんですし、焼きすぎたかなーとかドキドキします。ええ方に転がることもあるけど、がっくりすることも多い。作陶は生活の中だから、展示会で何日も出張でつくらんこうおったら、帰ってきて早く仕事したいなあ、と思ったりします。

日頃の生活のなかで、気軽に使ってほしい

今回開発するオリジナルマグカップは、島根の工芸品や食品を取り揃えるセレクトストアYUTTEを運営する企画会社「シマネプロモーション」に監修を依頼し、「共存同栄」マークを底に入れる予定です。

Q、どのようなマグカップになりそうでしょうか。

関わるきっかけは、これまでもつながりのある「シマネプロモーション」の三浦さんからお声がけがあったことです。基本的にできそうな仕事はできるだけ受けるようにしています。

普段使いというか日頃の生活のなかで、気軽に使ってほしい。そんなカップになる予定です。

(共存同栄という言葉は)地元のものを使ってもらえるのはありがたい話。この地域で焼きものをやっているんだから、石見の特徴を生かさないと。

宮内さんに制作をお願いしたマグカップのイメージ。「共存同栄」のロゴをマグカップの底に入れる予定です。

「共存同栄」の理念を大切にリターンを開発

宮内さんによる石見焼マグカップを始め、クラウドファンディングは「共存同栄」の理念を大切に、地元島根県を中心に活躍するデザイナーやクリエイターと新たに開発してお届けします。ローカルデザイナーによる手ぬぐいや地元木工作家のオーダーメイド作品などがあります。ぜひクラウドファンディングのページでリターンをご確認頂き、ご支援を頂けると幸いです。

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