島根県浜田市金城町美又の旧農協(旧美又信用購買販売組合)の建物を残すだけでなく生かすために行っているクラウドファンディングの返礼品(リターン)「建物の絵葉書」のイラストを担当してくれた上代美帆さん。「地域に恩返しをしたい」という上代さんに、その想いを聞きました。(JCEJ運営委員・新志有裕)
島根県立大学の学生だった2016年から2019年、浜田市金城町に開設された学生用シェアハウス「かなぎシェアハウス」に1期生として住み、建物「農協さん」がある美又地区を含めて、地元の人たちと交流してきた上代さん。
自身で町内をまわった体験をもとにまとめた「金城の溢れる魅力マップ」は、浜田市役所の金城支所などに貼られ、多くの人の目に触れています。今は松江市で会社員として働きながら金城に通っています。
もう一度美又に関わる機会があるなら
Q、絵葉書をつくるきっかけを教えてください
今回のプロジェクトの立ち上げ人である田中輝美さんに声をかけてもらって、美又にもう一度関わる機会があるならぜひやってみたいと思ったからです。学生時代の卒業研究は、美又温泉に女性客をどう呼び込むか、というもので*1、温泉旅館でバイトをしたり、公民館に遊びに行ったりして、美又地区の人たちとはとても関わりが深くなっていました。
「金城の魅力マップ」の美又バージョンも作りたいなと思っているんです。シェアハウスに住んでいたころ、「農協さん」の近くを通ることはありましたが、そんなに貴重な建物だとは知りませんでしたね。
Q、工夫やこだわりはありますか
他の人たちと一緒に「農協さん」を見学して、内部の2階部分まで見ました。装飾が凝っていて、レトロで素敵な空間でした。そこで撮影された写真を参考にして、色鉛筆でイラストを描きました。
石州瓦の色合いを出すために探した色鉛筆
細かいところの再現には時間がかかるんですよね。色もできるだけ建物に近い色にしようと思いました。特に、この石見地方に特徴的な、石州瓦の色合いを出すことに苦労しました。あちこちに色鉛筆を探しにいって、茶色っぽいものを6本集めました。その中に、近いものがあったんです。色鉛筆だと、暖かいイメージで伝えることができるので、この建物を初めて知った人にも、その良さが伝わると嬉しいです。
Q、建物には「共存同栄」のマークが掲げられています
初めて聞いた言葉だったので、大昔からある言葉なのに、新しい価値観のように感じました。コンセプトとして覚えやすいです。
私が注目したのは、言葉だけじゃなくて、そのロゴマークです。とても素敵なんです。4つの文字の組み合わせなのに円形になっていて、これを考えた人はすごいなと思いました。
いろんな人があつまる場所になるといい
金城町には、地域の人が気軽に集まれる場所が少ないので、いろんな人が集まることのできる場になるといいですね。
Q、金城の思い出について教えてください
大学を卒業して、金城を離れてもう4年ちょっとになりますが、この地域にはたくさんの思い出があります。美又の手芸サークルのおばあちゃんたちに教わって、卒業式の袴を自作したことも印象に残っています。卒業論文の執筆で追い詰められた時には公民館で書くこともありました。地域の人たちとの日常的な関わりが楽しかったんです。そんな地域の人たちに少しでも恩返しができればと思っています。
今回の「農協さん」がどう活用されていくのか楽しみですし、新しい未来しか感じないですね。
上代さんの素敵な絵葉書がリターンのクラウドファンディング
上代さんの素敵な絵葉書がリターンとなっているクラウドファンディング。リターンは「共存同栄」の理念を大切に、地元島根県を中心に活躍するデザイナーやクリエイターと新たに開発してお届けします。絵葉書以外には、石見焼マグカップ、手ぬぐい、などがあります。ぜひクラウドファンディングのページでリターンをご確認頂き、ご支援を頂けると幸いです。