日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、8月18日にワークショップ「みんなで考える、東京から被災地大槌へ伝わるニュース」を開催しました。
JCEJとボランティアインフォは共同で、7月30日、岩手県大槌町に「NewsLab♡おおつち」を開設し、8月15日に「大槌みらい新聞」創刊準備号とウェブ版を発行しました。ワークショップでは、ラボ開設から新聞発行までのプロジェクトの中間報告を行った後、東京から大槌へ伝わるニュースとは何か、報告資料などを参考にしてもらいながら参加者に考えていただきました。
■被災地大槌の現状
大槌町の被災状況について、まず学生インターンの藤井から説明がありました。大槌町は東日本大震災による津波被害によって多くの方が亡くなりました。その死者数は大槌町の人口の約1割にも及びます。役所も津波によって流され行政機関がマヒする事態となりました。地元メディアの東海新報が廃刊となり、大槌新聞、復興コミュニティFMが発信媒体となっているが、十分に浸透していません。学生の調査から、ソーシャルメディアの利用はとても少ないことが明らかになり、紙を利用して情報発信することになりました。
■町に溶け込む
現地入りした学生がまず苦労したことが町へ溶け込むことでした。学生が仮設住宅を一軒一軒訪ね、町民の方の話を伺い、状況を把握しました。このような町民とのコミュニケーションから、漁師の方に船を出してもらい、ひょっこりひょうたん島のモデルとされる蓬莱島へ上陸して島の現状を写真に収めることが出来ました。学生が町の人に話すことで町の人同士のコミュニケーションが少ないことがわかりました。プライバシー保護もあって「近所の人や知り合いがどの仮設に住んでいるか知らない」といった声もありました。そこで、町の人をなるべく紙面に掲載する「町民カレンダー」という企画が生まれました。こちらからダウンロードできます
■東京から大槌へ伝わるニュースとは何だろう?
学生の報告を踏まえ、東京から大槌へ伝わるニュースについての記事の企画書を考えます。企画書では「テーマ」「内容」「意図」の三点を考えてもらい、最後に1グループ3分で発表していただきました。各グループの発表は以下でまとめました。
- テーマ:拝啓 大槌
- 内容:大槌からその他の場所へ避難している方を対象に、年代、担任の先生、部活と言ったカテゴリーを月ごとに決めて人を選び、大槌出身の関東在住の方の活動や生活、大槌へのメッセージを発信する。
- 意図:他の場所で誰かが頑張っていることで勇気づけられる。また、どこに住んでいるのかわからなくなっていたり、消息がわからなくなったり、ということの解消。
- テーマ:つながり新聞
- 内容:東京と大槌をつなぐ。大槌町出身の方々をインタビューしてリレートークを載せたい。また、地元の工芸品やキャラクターがあるので、東京でグッズを販売し買った人々にどのように使っているかなどインタビューする。
- 意図:大槌町は人口が減っているという背景で、釜石市と合併するという話もあったが、それを断っている。大槌町でいたいという地元愛を再認識してもらいたい。
- テーマ:大槌出身の芸能人 パパラッチ
- 内容:大槌出身の芸能活動をしている人をピックアップして、東京や他の地域での活動のデータを新聞のコーナーとして大槌に伝える
- 意図:大槌出身の人が東京で活躍していることを知らせて大槌に自信をもってもらう
- テーマ:お茶飲み話in東京
- 内容:東京で暮らしている大槌の人に集まってもらって被災前後の大槌について語ってもらう
- 意図:失われたつながりをとりもどす。コミュニケーション再構築。被災の有無によるズレを解消する。
普段、地域の情報を東京で知ることはできても、大槌の町民を対象として東京の情報を大槌へ伝えるというワークショップは難しかったようです。各グループ、時間を少し延長しながら発表へ準備してもらいました。3分という短い発表でしたが、これから紙面を考える上でぜひ参考にしたいと考えています。最後に、学生インターンの藤井から「こういうことを通じて大槌の状況や大槌の人たちがどのような情報を求めているのか考えるきっかけになってくれればと思います。長い時間だったのですがありがとうございました」と締めくくりました。
JCEJは、9月22日に今回のプロジェクトの展示会を行う予定です。詳細が決まり次第お知らせします。
(学生運営委員・福武 亨)
【関連】
- ワークショップ「みんなで考える、東京から被災地大槌へ伝わるニュース」を開催します。
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