日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が1月から3月にかけて開催する『東北ローカルジャーナリストキャンプ』。第一線で活躍する講師陣のもと、地域のニュースを外に届けるスキルを学び、徹底的に議論する合宿を経てYahoo!ニュースへの掲載を目指します。どんな挑戦者を求めているか、東北からどんな発信を期待しているか、指導役を務めるデスク陣に伺いました。
第2弾は、北海道のニュースを全国に届ける新たな発信に挑む朝日新聞記者・関根和弘さん。関根さんが考える「地方ニュースの可能性」とは?
関根和弘(せきね・かずひろ)(朝日新聞記者):前モスクワ支局員として、ロシアを中心とする旧ソ連を担当。日本人とロシア人の心の交流を描いた夕刊連載シリーズ「ロシアへの虹」などを執筆。現在は北海道報道センターで、テレビとの共同企画、SNSの活用などを通じてローカルニュースを全国に届ける発信に挑戦中。
地方発のニュースには大きな可能性があると思っています。
例えば私が勤務している北海道にはニセコと呼ばれる地域があります。人口は2万5千人程度ですが、冬には良質なパウダースノーを求め、世界中からスキーヤーらが集まります。スキー場周辺は外国人であふれ、街中には英語表記の看板が目立ちます。定住外国人も増え、今やニセコはNISEKOとして知られるようになっています。
北海道全体に目を向ければ、外国からの訪問客は毎年増え続け、昨年は200万人を突破しました。彼らは観光ガイドブックに載っているような情報では満足せず、普通の道民がどんな暮らしをしているのかなど、よりリアルな北海道を知りたがっています。
私たち地方記者は、地域のニュースをその地域の読者に届けるために取材・執筆をしていますが、北海道の「グローバル化」を考えるとき、ニュースが「地産地消」で終わらず、地域、さらには日本すら飛び越して世界に発信可能なポテンシャルを秘めているのだと気づかされます。地方なればこそ、埋もれたダイヤの原石のような物語があるのだと思います。
東北にもきっと、地域の外から求められる魅力があるはずです。それが何かは、まさにプログラムに参加する皆さんの感性(センス)にかかっています。ニュースはどこかに転がっているわけではありません。自分がニュースと感じる力によって生み出されるのです。東北という広大な空間から何をニュースとして切り出してくるのか。オンリーワンのセンスに期待しています。
キャンプの詳細は、以下の記事もご覧ください。
・キャンプの参加募集は終了しました。
本プログラムは、復興庁の「新しい東北 情報発信事業」に選定された「ローカルジャーナリスト育成講座」の一環で、Yahoo!ニュースの協力を得て行われています。地域に暮らしながら、外に情報を発信できる「ローカルジャーナリスト」の育成を通じて、東北の新しい魅力を全国に届け、ヒトやモノを動かす循環を作り出すことを目的としています。11月には、東北6県で「地域の外とつながる情報発信術」を学ぶ1日の講座を開催、延べ100人以上が参加しました。