7月28日に開催したJCEJ×GLOCOM「データジャーナリズム実践 データから社会問題を発見する」の参加者報告を、Orinoco Peatixの庄司望さんに書いて頂きました。
【イベントの概要】
7/28、参加者多数でキャンセル待ちとなった「JCEJ×GLOCOM データジャーナリズム実践 データから社会問題を発見する」に参加させて頂きました。
【”新しい”データジャーナリズムとアイデアソンという試み】
まず、GLOCOM庄司昌彦氏によるオープンデータについて、トレンドや諸外国の事例、現在の課題等について説明がありました。
次に、JCEJの赤倉氏より、データジャーナリズムの最先端であり、優れたデータジャーナリズムのケース紹介として、データジャーナリズムアワード(DJA)について時間を割いて紹介。
JCEJのスタッフが「これは新しい試みである」ことを強調しており、参加者も最初は何をすれば良いか不明確な部分が多かったのですが、最初にDJAのケースやカテゴリを共有することで、各々の認識をすり合わせ、スムーズにブレイン・ストーミングに入ることができました。【アイデアソンとチームワーク】
アイデアソンの設定は「DJAに応募することを目指し、データを活用した報道/アプリケーションのアイデアを出すこと」。メンバーは「ジャーナリスト」「アナリスト」「エンジニア」に分けられ、各チーム必ず一人以上の専門家が含まれる構成です。私は「アナリスト」の立場で参加しました。従来の、ジャーナリストが一人で行う取材活動とは異なり、専門性の異なるメンバーのチームワークがデータジャーナリズムの鍵であることは、赤倉氏が強調していたことの一つです。【テーマ設定:クラブ問題と風営法】
さて、チームメンバー皆で、最近の社会問題や、身近な問題について議論したところ、我チームは、最近警察の取り締まりが厳しくなっている「クラブ」問題について取り上げることにしました。筆者も含めて「クラブ好き」にとって、クラブが閉鎖してしまうのは残念であり、著名なアーティストや音楽関係者が署名活動などを行なっているようですが、その主張は「ダンス文化を守れ」というものであり、規制側の論拠である犯罪の増加や、周囲への影響について、双方が建設的に議論をする様子はあまり見られません。
チームでは、
「本当にクラブは犯罪の温床なのか?」
「犯罪が発生するクラブに特定のパターン・原因はあるのだろうか?それは風営法を適応することで、解決することなのだろうか?」
「犯罪者予備軍をクラブに閉じ込めることで、逆に繁華街の治安維持に一役買っているのでは?」など、データ分析が明らかにしそうな事柄を自由に挙げていき、実施に入手可能なデータを探すことにしました。
簡単な調査の結果、地域ごとのデータは収集できることが判明、おおまかな傾向はつかめるものの、決定的に議論のレベルを引き上げるには、更なるデータの公開を訴える必要があることが分かりました。【アイデアソンを終えて:データキュレーターの必要性】
今回のアイデアソンに参加して感じたことは、社会的意義やデータの解析手法の前に、「適切なデータを見つけること」が一番の課題である、ということです。先日総務省が「オープンデータ流通推進コンソーシアム」を設立するなど、データをオープンにするための動きが始まっていますが、活用したい人がそのデータの存在に気づかなければ活用されません。今後、「データのキュレーター」のような役割(人/サービス)が重要になるのではないでしょうか。
海外では、CKANのようなデータ・ポータルサービスがあり、現在ボランティアによって日本語化が進められているところです。また、筆者も参加するOpen Knowledge Foundation日本グループの活動も、その一助となれば幸いです。
最後に、初めての試みであるにも関わらず、丁寧かつスムーズに会を運営されていたフタッフの皆様、多くの気づきを与えてくれた参加者の皆様、ありがとうございました。
(Orinoco Peatix 庄司 望)
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- 山口亮さんによるまとめ
「JCEJ×GLOCOM データジャーナリズム実践 データから社会問題を発見する」の簡易まとめ
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