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JCEJ×GLOCOM「 データジャーナリズム実践第2弾 データ発見ワークショップ」参加者報告 vol.2

9月1日に開催したJCEJ×GLOCOM「データジャーナリズム実践第2弾 データ発見ワークショップ」の参加者報告を後藤真理絵さんに書いて頂きました。

【イベントの概要】

【参加者報告vol.1】

私は現在の会社で市場調査の仕事をしており、官公庁や民間企業が発表している統計データ(構造化データ・非構造化データともに)の分析などを業務として行っています。

業務を行う中で、データの出展元によって統計取り方やまとめ方に違いがあり、厳密に言えば一概に比較ができない場合や、データをそのまま活用できないケースがあるという壁にぶつかってきました。また関連の強い調査を実施しているものの、出典元が違うためにデータがばらばらに点在し有効活用できない状況にあることについて、もったいないと感じてきました。

このイベントは「防災」をテーマにあらゆるデータを集め、誰もが利用できるようにまとめるというゴールがあり、私の感じていた課題を解決するヒントを得られると思い、参加したのが背景です。

始めに、防災関連のトピックスとして、最近の国の防災方針に関する話がありました。それによると「防災から減災へ」という流れになってきており、結果的に被害の最小化を図るため、社会のどこに脆弱性があり、どのような対処が必要かを検討・実施しておく方向にあるという流れを事例とともに解説いただきました。

その後、上記のようなトレンドを踏まえ、減災のために必要なデータは何かを探す作業をグループワークで実践し、最後にチーム別で見つけたデータの活用案を発表し合いました。

ワークショップを通じて、再認識したことは大きく2つあります。

(1)データの受信側の設定

防災に関して言えば、「一般市民」「地域・組織のリーダー格」など誰にデータを見てもらい、何を判断させるのか(=行動させるか)のシナリオが必要です。今回のワークショップでは一般市民目線でのデータ活用案(日常生活の中で防災意識を根付かせる防災・避難経路マップ等)が多い傾向にあったため、地図上に防災や避難時に有益な情報(コンビニや自販機の数等)をマッピングする案が目立ちました。
データを見せる対象者が社会的弱者(障碍者の方や高齢者など)を設定したチームの場合は、サポートする人向けに福祉施設の連絡先や連絡方法に関するデータを地図上にマッピングする案を出していました。
このように、データの提供先によって見せ方や切り口を変え、最適化を図ることがいざというときの行動スピードにも影響することを感じました。

(2)データ・マッシュアップの必要性

ワークショップの中でデータを探している時、そのデータについて「無料・有料での使用可否」「活用できる場合のデータの形式」などを最低限確認していきました。官公庁は無料で利用できるケースが多く、民間企業は申請が必要など特性はありますが、興味深いのは民間企業のサービスにおけるデータでした。
特にインターネットサービスの開発・運営を行っている会社については、ネット特有の「マッシュアップ」(複数ウェブサービスAPIを組み合わせて一つのサービスを構築すること)の精神が根付いているせいか、多くのデータ提供元がAPIを公開したり、スマートフォン向けアプリを通じたユーザーデータの取得(要許諾)をしたりする傾向が強いと感じました。その一方で、官公庁のデータはマッシュアップがしづらい状況にあります。
データに関しても個々に独立して存在するのではなく、マッシュアップを前提としたデータベースの設計と収集システムの実装が必要であり、その前提として(1)のデータ提供先に関するシナリオが必要となってきます。

 以上のように、「防災」というテーマ一つをとっても、多くのデータが世の中に点在しています。そしてそのほとんどは現在APIでつながっていません。
 今後、国内外の組織・企業でデータのビジネス領域への本格活用が始まった際、そのデータをただ眺めるのではなく、データをみる対象者がデータを見た後に起こす行動パターンなどシナリオを詰めることが重要だと再認識しました。
 このワークショップで学んだことを活かし、データを活用・適宜マッシュアップすることで、より良い社会生活を送ることが出来る社会に貢献できればと思っております。
後藤真理絵)

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