#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

「復興につながるのか答えられる記事を」ジャーナリストキャンプ福島2013始まりました

5月4日、日本ジャーナリスト教育センターが主催する「ジャーナリストキャンプ福島2013」が始まりました。参加者は全国から集まった記者、ライター、デザイナーら15名と、5名のデスク。「震災後の福島に生きる」をテーマに2泊3日の日程で取材します。

最初に、運営委員が、ジャーナリストキャンプについて「ジャーナリスト同士が組織の枠を越えて個人として学び合い、切磋琢磨する場」と趣旨を説明。特に、今回、初めてデスク制を導入して、新聞やネットなど各分野で活躍中の方々にデスク役をお願いしたのは「各デスクがどこに着目して、どういう風に取材をして記事を書いているのか『盗んで』学びたい、という思いからだった」と紹介しました。
 
続いて、デスクの一人で、いわき市出身の社会学者・開沼博さんは「震災後の福島では、そのときどきにいろんな福島が切り取られているが、いわきは福島県庁などから遠く、アクセスも良くないので情報格差が出てきている。どう復興につながるのが聞かれた時に答えられるような記事にしたい」と話しました。

簡単な自己紹介のワークショップを終えた後、参加者とデスクの皆さんは、デスクごとの5チームに分かれて、次々といわき市内へ取材に出て行きました。

データジャーナリズム部門を担当する、JCEJ運営の赤倉優蔵デスクが率いるチームは、車で市内を回り、震災後に地価が大きく上がったといわれる、数少ない住宅街を視察。その後、真剣な表情でパソコンをのぞきこみながら、地価の変動などのデータを調べていました。


 
開沼デスクのチームは、参加者それぞれのテーマに沿って、別々に取材を行いました。参加者の一人は主に、福島県富岡町から避難している人が集まる仮設住宅の会長を取材しました。避難している人たちが、いわき市や仮設暮らしになじめているのかどうか、課題は何なのかなどを聞いていました。

取材から戻った後は、議論です。所属しているチームから一旦離れて、他のチームの人と混じって着席。「今日何を取材したか、どのような記事を書きたいと思っているか」などを報告し、デスクとJCEJ運営委員から、フィードバックを受けました。

前ニコニコニュース編集長の亀松太郎デスクは「ビジネスのウェブ媒体で読ませるという観点で取材をしていたか。ビジネスメディアを読んでいる人はなんらかの形で自分の役立てたいと考えている。自分の取材はその人達の役に立つか」とコメント。東北地方のブロック紙河北新報の編集委員を務める寺島英弥デスクは、データジャーナリズムに取り組んでいる参加者に対し「現在出ている分析の、そこから先に何を見いだすのか、光をあてるのか」と投げかけました。

「何がおもしろいのか、何が売りなのか。読者に何を思ってもらいたいのか、分からない」といった厳しい指摘も。全体としては一旦解散しましたが、各チームは場所を移動し、指摘を踏まえて、もっと違う視点が考えられないか、明日からの取材をどうするのかなど、深夜まで議論が続きました。

(JCEJ学生運営委員・石井 俊行)