立憲民主党に対し、「【ロシア】ベストライセンス社の商標登録で枝野幸男あ然!!」とのタイトルが付いた記事が10月3日、ネットサイト「RUMBLE」に掲載されました。フェイクニュース確認プロジェクトの参加者は、立憲民主党が商標登録されている事実はなく(商標出願されているだけ)、この記事のタイトルを「フェイク」と判定しました。
<フェイク判定をした記者:3人>
本プロジェクトについては、下記ブログ記事をご覧ください。
民進党の辻元清美氏が、記者に囲まれた際に突然意味不明の言葉を発し「大発狂」したとのタイトルが付いた記事が9月29日、ニュースサイト「J-CASTニュース」に掲載されました。フェイクニュース確認プロジェクトの参加者は、辻元氏が「大発狂」した事実はなく、この記事を「フェイク」と判定しました。
<フェイク判定をした記者:5人>
10月3日現在、この記事はフェイスブックなども含むソーシャルメディア上で計約15万8千人にリーチしています。ヤフーニュースにも掲載されました。
記事のタイトルはその後、「辻元清美がネットで話題に 記者の質問に無言――突然、意味不明の言葉を発し...」に変更されています。
本プロジェクトの概要については、下記ブログ記事をご覧ください。
日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)と法政大学社会学部・藤代裕之研究室は、10月22日投開票で予定されている衆院選に合わせ、ソーシャルメディア上の「フェイク(偽)ニュース」を確認するプロジェクトを行います。欧米では、フェイクニュースが選挙に大きな影響を与えており、日本でも、期間中に不確実な情報やデマが流れることが予想されます。こうした情報をチェックし、公表することで、有権者の適切な判断をサポートする試みです。
プロジェクトは、新聞・テレビ・ネットメディアの記者の協力を得て行います。9月29日時点で計17社(10月11日現在19社)から、個人または社としてそれぞれ1人ずつ記者が参加しています。JCEJでは引き続き参加を呼び掛けていきます。
確認の方法は、フェイクニュースの可能性がある不確実な情報についてJCEJと藤代研究室から情報提供を行い、参加者によってフェイクニュースと確認されたものをブログに掲載していきます。プロジェクト期間は10月22日までの予定です。
欧州ではフランス大統領選の際、主要メディアが連携して虚偽情報を検証する「クロスチェック(CrossCheck)」というサイトを発足させました。フランス通信(AFP)や仏紙ルモンドのほか、英BBCや米ブルームバーグなども協力しています。本プロジェクトは日本版のクロスチェックとも言えるでしょう。
JCEJは6月に記者や研究者、エンジニアらと連携して「フェイクニュース研究会」を立ち上げました。国内での状況は海外と異なることが予想されますが、どのような偽情報がどういった経路で拡散しているのかは明らかになっていません。まずは状況を可視化することで、対策をさらに進めるきっかけにしたいと考えています。研究会については、以下のブログ記事もご覧ください。
日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、新聞記者や研究者、エンジニアらと連携して「フェイクニュース研究会」を立ち上げ、6月17日に第1回会合を行いました。国内ではどのようなフェイクニュースが存在し、どういった経路で伝播しているのかなど、実践的にリサーチを進めながら対策を考えます。
フェイクニュースが大統領選に大きく影響したとされるアメリカや、今年選挙が相次ぐヨーロッパでは、メディア機関やプラットフォームが連携してすでに対策が進んでいます。欧州のリサーチ機関「Public Data Lab」や米ファクトチェック団体「First Draft News」の協力も得ながら、海外とは異なることも予想される日本での状況に焦点を当てていきます。
第1回会合では、Public Data LabがFirst Draft Newsの支援を受けて作成したフェイクニュース研究のガイド「A Field Guide to Fake News」をメンバー全員で読み解きながら、フェイクニュースを取り巻くエコシステム解明にはどのようなデジタル手法が有効かを議論しました。
今後は定期的にミーティングを開催しながら、オンラインリサーチのほか、現場取材や海外での現状視察など、多角的な取り組みを進めていきます。また、許可を受け同ガイドの日本語版も作成する予定です(英語ガイドの完成版は9月頃にリリース予定)。
JCEJは、フェイクニュース時代の取材スキル向上に資する取り組みの一貫として、ソーシャルメディアを使った取材の米ハンドブック「A Journalist's Guide to Working With Social Sources」の日本語版「ソーシャルメディアを使った取材の手引き」を作成。5月に無料公開しています。詳しくは以下のブログ記事をご覧ください。
日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は5月13日(土)、米ファクトチェック団体「First Draft News」が公開している、ソーシャルメディア取材のハンドブック「A Journalist’s Guide to Working With Social Sources(ソーシャルメディアを使った取材の手引き)」の日本語版公開を記念したトークイベントを開催しました。ハンドブックを紹介しながら、フェイクニュース時代の取材スキルについて考えました。会場は株式会社はてなの協力を得ました。
・ハンドブック日本語版「ソーシャルメディアを使った取材の手引き」をダウンロードする
イベントではまず、ゲストスピーカーの平和博さん(ジャーナリスト、ブログ新聞学的)が海外のフェイクニュース動向について講演しました。
平さんは「フェイクニュースは構造が複雑で、(関係する)プレイヤーがたくさんいる」と説明。フェイクニュースが大統領選の結果に影響を与えたとされるアメリカでは、政治的動機や広告収入目当てで偽情報を流すサイトが存在し、ロシア政府や、デマの拡散を日常業務として請け負う「トロール工場」と呼ばれる業者なども関わっていると話しました。
また、今回邦訳したハンドブックを発行しているFirst Draft Newsがフランスメディアと協力して進めている、フェイクニュースに対抗するプロジェクト「クロスチェック」についても解説。フランス大統領選に向けて行われたメディア側の取り組みを紹介しました。
後半は、ハンドブック邦訳に携わったメンバー9名のうち、NHKソーシャルリスニングチームの足立義則氏、岡田真理紗氏、藤目琴実氏、徳島新聞編集委員の木下真寿美氏、JCEJ運営委員の耳塚佳代が、それぞれの担当章を紹介しました。
世界的にフェイクニュースが広がる中、マスメディアがソーシャルメディア上で取材を行う際にも注意が必要です。メンバーは、日本でも問題になっているインターネット上でのメディアスクラムや、偽の情報を主要メディアが引用してしまった事例を挙げながら、ハンドブックに書かれている注意点について解説。
来場者も交えてのディスカッションでは、インターネット上で投稿されたコンテンツを報道で使用する場合のリスクについても議論が及び、会場からは「偽の情報源を見分ける具体的な方法はあるのか」など様々な質問がありました。
「(情報源が信頼できるのか)メディアがきちんと確認し、許可を取るなど丁寧な作業をしなければ、今後大きな問題になりかねない」や「直接現場に出向く従来の取材手法でカバーできるのに、安易に(投稿コンテンツを)くださいと言い、炎上につながるケースも散見される。簡単に行けない場所で撮影されたものや、速報時などに限るべきではないか」という意見もありました。
JCEJでは引き続きフェイクニュース対策に関する取り組みを進めていきます。
ハンドブックの詳細については、こちらの記事もお読みください。