#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

ジャーナリストキャンプで苦戦した経験が、本業での飛躍を生んだ!

福島県いわき市で開催した昨年のジャーナリストキャンプに参加し、データジャーナリズムに取り組んだ毎日新聞の石戸諭さん。キャンプではテーマすらなかなか決まらず苦戦もあったものの、失敗を含めた経験が本業で大きく飛躍するきっかけになったそうです。

データジャーナリズムに挑戦 キャリアのヒント求め
参加したのは、データジャーナリズム関連のネットワーク作りに役立つと思ったのがきっかけです。
日本ではこれから実践が始まっていくデータジャーナリズムにどう向き合うか。ビッグデータ時代の記者の役割、学ばなければいけないことを明確にするために参加しました。焦りもありました。これといった武器もなく、記者生活で華々しい特ダネとも無縁な中で、今後のキャリアをどう積んでいけばいいのか。ヒントだけでもつかめればと参加を決めました。

▼キャンプ初日から苦戦…
JCEJの赤倉優蔵デスクが掲げたテーマは「チームで挑むデータジャーナリズム」。一言にチームといっても学者、技術者、各記者で問題意識が違います。私たちのチームは当日までテーマを絞ることができず、初日夜に開かれた発表で「がっかりした」「方向性が見えない」と酷評されました。その夜、話し合った中で意識をすりあわせるポイントになったのが「仮説検証」です。まずテーマを決め、仮説を検証しながら記事を組み立てていく方針を共有することから始まりました。細かい経過は省略しますが、最終的に「福島県産農産物に風評被害は本当は無かった」と仮説を立てて、データで検証していきました。

▼チームプロジェクトを成功させる極意を学ぶ
試みはすべてが成功したとは言えませんし、反省点も多いと思います。しかし、「風評被害という言葉があいまいなまま一人歩きし、『原発事故による差別で苦しみ続けるフクシマ』というイメージの固定化が進めば、かえって復興の妨げになる」という記事の結論は多くの方に共有していただけました。観測地点を定めて検証するという記事を好意的に捉えていただけたというのは新鮮な驚きでした。データジャーナリズムはチームで臨むことが大事だと口で言うのは簡単ですが、問題意識を共有しないとチームは簡単に分裂します。大事なのは一致点と方向性の共有ということを実体験できたことが私にとっては後々の企画取材につながっていきます。

▼キャンプでの失敗が、本業の成功に
この合宿を終えて大阪に戻ってからすぐ、今回のジャーナリストキャンプにデスクとして参加する西田亮介・立命館大特別招聘准教授と取り組む参院選ネット選挙共同研究の企画書を書きました。幸い、企画書は採用され2カ月にわたって部局を横断した共同研究取材班に参加することができました。社内でも記者、統計分析担当、デザイナーが考えていることは往々にして異なります。ここでも西田さんの提案のもと、仮説検証形式で記事につながるコンテンツを考えていくことになりました。取材班が知りたいことは何か、読者に興味を持っていただくために必要な問いをすりあわせ、企画を展開しました。JCEJでの――失敗も含めた――経験が大きかったと思います。

<関連リンク>
記者の目:ネット選挙解禁=石戸諭
ネット選挙―毎日新聞・立命館大共同研究(毎日新聞):キャンプでの経験を生かし、石戸さんが西田亮介さん(今年のキャンプのデスクを務めます)と取り組んだネット選挙記事
データジャーナリズムで検証するフクシマの風評被害の虚実:石戸さんのチームが昨年のキャンプで取り組んだデータジャーナリズムの記事