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「王道を疑え ソーシャルメディア時代の企業と個人のコミュニケーションとは」参加者報告vol.6

3月3日に東海大学で行った「ジャーナリスト・エデュケーション・フォーラム2012」の参加者報告。第六弾は、コミュニケーションデザイン熊村剛輔氏(リーバイ・ストラウス ジャパン 株式会社 デジタル マーケティング マネージャー)による「ソーシャル メディアの使い方なんて誰が決めた?」のセッション。報告は坪井敬子さんです。

資料のプロフィールなどによると、熊村さんは1974年生まれ。プロのサックス奏者からエンジニア、オンライン媒体編集者を経てマイクロソフトに入社。企業サイト運営とソーシャルメディアマーケティング戦略全般をリードし、その後PRエージェンシーでリードデジタルストラテジストとしてデジタル戦略全般を統括。2011年11月から現職だとのこと。会場でお会いしてみると、メガネのフレームとジャケットが同じ黄色、赤を基調にしたチェックのマフラーというファッショナブルな方で、サックスで鍛えられた肺活量たっぷりのよく響く声と、よどみない語り口は落語なんかお好きなのかな、といった感じで楽しい雰囲気でセッションは始まった。

軟式アカウントは正しいのか

が、切り口は鋭い。ソーシャルメディアでの企業と個人とのコミュニケーションについて、「まずは、王道を疑ってみましょう」。
王道つまり「軟式(ゆる〜く)」で「こまめ」に発信し、反応があれば「即時反応」する。これが正しいと、何となく思ってはいないだろうか。
そうだよなぁ。実はソーシャルメディアで会話しつづけるこの発信スタイルは、すぐに書くことがなくなり、内輪ネタに走る傾向がある。これは本当に必要とされている情報ではないだろう。しかもリアルタイムで返すために担当者はかかりきりになってしまい、費用対効果の面からも疑問が残る。

この方法は3年ほど前、ソーシャルメディア黎明期にできた手段のひとつにすぎない。一見にぎわっているが、それだけで成功したといえるのか。手段が目的になり、思考停止に陥っていないか。そもそも発信ツールでしかないのだ。

熊村さんはソーシャルメディアでもラジオのDJのような関わり方がちょうどいいのではないかと語る。どっさり届く投書から話題性のあるものを選び、直接にではなく全体に返すという方法だ。確かにそうだな、と私も思う。個人対個人でも、ソーシャルグラフの大きい人は逐一対応していられないように思う。伝えたいことは多くの人に対してブログやメルマガで伝えている。

いいね!が多いのは成功か
“王道を疑え”の2問目。「フォロワーの多いツイッターアカウントや「いいね!」の多いフェイスブックページは成功しているのか。そのことだけで企業と個人は双方向でつながっていると言えるのか」

ここまで聞いてくると、これもしっかり疑わないと。ソーシャルメディアに企業から発信入された情報は不特定多数の個人の中で動きまわり、企業から個人への情報の流れは一方通行だ。これでは今までの1対nのコミュニケーションと同じで、ソーシャルメディアに企業が入り込んだとはいえない。「企業内個人」が不特定多数の集団に入り込み、他の個人と良好な関係を結ぶことが有効に関与する方法だと言えるが、その「企業内個人」だっていつまでもその企業に所属しているとは限らない。

フェイスブックでの「いいね!」、ツイッターでのフォローなどで、個人に情報を受信できるようにしてもらい、リンク先の自社サイトを閲覧するなどして発信する情報を詳しく読み、共有された情報の受け手が同様の動きを繰り返してくれて初めて企業はソーシャルメディアで情報をきちんと発信できたといえる。そこまで分析しないとソーシャルメディアでの人の行動は読み取れない。
分析の手がかりは投稿を読んだ人数、それを話題にしている人数、「いいね!」の数、シェアされた回数、リンクをクリックした数など様々だ。熊村さんは国ごとに特徴があり、それぞれに合った方法で関わりを深めるための工夫こそが必要だと話した。

デジタルマーケティングの現場にいる熊村さんだからこそ見えてくるリアルな状況。背景にはデータの積み重ねがあり、冷静に分析すると「王道」だと思っていたこととは違った現実が見えてくる。思考停止しがちな私には気づきの多いセッションだった。
(報告:坪井敬子)

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