#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

「社会のために発信する人は、みんなジャーナリスト」 #ジャーナリズムアワード の開催目的や意義を聞いてみた

1月28日(土)、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)主催の「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2017」が法政大学で開催されます。このアワードは、ネット上の作品の作り手と受け手が交流し、参加者の投票でネットにおけるジャーナリズムの頂点を決める“お祭り”です。
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私は、アワードの広報を担当している武富と申します。普段はネット企業で営業をしています。昨年のアワードがきっかけでJCEJの活動に参加しています。全国から様々なメディアが集まるアワードは、直接作り手と交流できる貴重な場です。しかし、ジャーナリズムという言葉から参加に壁を感じている方もいるかもしれません。

新聞社などの既存メディアをはじめ、ネットメディアや地域メディア、ブロガー、研究者など組織や業界の垣根を超えた人々が集まるアワードの魅力を伝えることで、より多くの新しい方に参加してもらいたい。そこで普段はニュースサイトで編集をしているアワード広報の庄司と一緒に、アワードを開催する目的や意義について、改めてJCEJ代表運営委員の藤代裕之に聞いてみました。

業界を越えて、ソーシャルメディア時代に必要なスキルを学ぶ

――そもそも、JCEJとは何ですか?

ソーシャルメディア時代に入り、記者は記事を書くだけでなくテクノロジーへの理解が求められるようになりました。また、経営やマーケティング的なスキルも必要になっています。JCEJは、そのような複合的な能力を勉強する場を提供するために2011年に設立しました。2013年から一般社団法人となっています。

設立直後は、東日本大震災に関わる取り組みに加えて、講師を招いて月に1度の勉強会を行っていました。ニュースに関わる企業だけでなく、広告、PR、行政の関係者、研究者なども交えて、ソーシャルメディアやネット上での表現についてみんなで勉強をしていました。

――広告業界の方など、マスメディアの記者以外も活動に参加できるんですね。

JCEJはどんな立場であれ、社会のために発信する人は、ジャーナリストだと、広い定義で考えています。ジャーナリストやジャーナリズムという言葉は、縁遠く感じるかもしれませんが、社会課題の解決に取り組んだり、関心があったりすれば問題ありません。

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日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ) 代表運営委員 藤代裕之

大手メディアもブロガーも平等、良い取り組みをみんなで称える場

――アワードを始めた経緯について教えてください。

ソーシャルメディアだけでなく、オウンドメディアの普及が進み、企業やNPO、地域の活動者もメディアをつくって発信するようになりました。その中で、「これはだめ」と批判するよりも、良い取り組みを持ち寄り、みんなで参考にし合うことで、ネットの情報発信の質を高めていこうと始めました。

ジャーナリズム作品という言葉に対して、「どんな作品が該当するのか分かりにくい」と言われることがありますが、社会のために発信しているならば、ソーシャルメディアやオウンドメディアだろうが広告作品でも応募できます。新聞社やテレビ局に限っているわけではありません。第1回では、ワーキングマザーに向けて公開した動画で、大きな反響を生んだサイボウズさんも出展頂きました。

――来場者が投票して頂点を決めるのも、特徴的ですよね。

権威のある人が頂点を決めるのは、インターネットっぽくないかなと……。出展してくれた人々が一生懸命説明をしてくれて、熱意が伝わった人に票が集まるわけです。みんなで選ぶことで一体感も生まれるし、参加者同士のつながりも生まれます。

例えば、1回目で最優秀賞を受賞した首都大学東京渡邉英徳さんと、データジャーナリズム特別賞を受賞した沖縄タイムスの與那覇里子さんが、アワードで出会ったことをきっかけに新しい作品「沖縄戦デジタルアーカイブ」の制作に取り組んでいます。沖縄戦デジタルアーカイブは、2回目のアワードでも最優秀賞を受賞しました。このようなコラボレーションがもっと生まれてほしいですし、運営側もお互いが交流できる工夫をしていきます。

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首都大学東京 渡邉英徳研究室・沖縄タイムス社・GIS沖縄研究室の『沖縄戦デジタルアーカイブ』展示ブース

アワードでは大手メディアも、ブロガーも平等です。展示ブースの場所は抽選ですし、遅れてきた人は残っている場所から選ぶしかありません。JCEJはみんながコミュニケーションする場や機会を提供するように心がけています。その中で、参加者が刺激しあってくれたら良いかなと思います。

図書館、地方自治体、NPOも出展を!

――印象的な応募作品はありますか?

前回(2回目)は「宮崎てげてげ通信」「あしかがのこと。」など、ローカルメディアが多かったことが挙げられます。参加者からはお互いの活動を知り、交流できたと聞きました。また、「ヤフーニュース個人」の書き手も多く参加してくれました。

「組体操のリスク」をヤフー個人で発信している名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授も参加してくれました。写真では金髪で怖そうに見えるんですが(笑)実際に会うと非常に丁寧な方でした。いつも読んでいる書き手やネットメディアの運営者と直接話すことができるのも、アワードの面白い点ではないでしょうか。

――今回、新しく出展してほしい分野などはありますか?

出展がまだ少ない、図書館、地方自治体、NPOなども参加してくれると嬉しいです。
仕事柄、いろいろなネットメディアをチェックしているつもりですが、アワードでは毎回「そんなメディアがあるんだ」といつも驚かされます。
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「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2016」会場風景

――これまでは出展者に関する質問をしてきましたが、参加者(投票側)にとっての魅力はどうでしょうか?

いつも見ているメディアの運営者と交流できるのはもちろん、イベントのお祭り感は魅力ではないでしょうか。投票して、リアルタイムに票が入る様子を見て、プレゼンを聞き、ゴミの撤収や片付けも行うなど、出展者・参加者が一体となってみんなで楽しめると思います。

「これがジャーナリズムだ」というのはあまり言いたくなくて、社会のために発信している取り組みであれば、ぜひ出展者として参加してほしいと思います。そして、日ごろ接しているメディアが何かを知る機会として、多くの方が来場してくれると嬉しいです。

(聞き手:武富陵一郎、構成:庄司智昭)

1月28日に開催する「ジャーナリズム・イノベーション・アワード2017」は、今回で3回目。作品の作り手と受け手が直接交流し、優れた作品をみんなの投票で選ぶイベントです。組織や業界の垣根を越えて、切磋琢磨する仲間と出会い、語り合える場にしたいと考えています。ぜひ、あなたの作品を応募してみませんか。この作品が良かった、という推薦も受け付け中です。

作品応募は専用フォームにて受け付け中です。

応募要項などの詳細は、下記記事を参照ください。
jcej.hatenablog.com