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震災は「過去」じゃない 学生インターン2013夏・活動報告(5)

岩手県大槌町で行った夏の学生インターン活動報告第5弾は、関西大学3年の佐々木百合さん。震災当時の状況をもっと知りたい、と自分から積極的に町の方と交流し「ここで見聞きしたことを無駄にせず、絶対に伝えたい」という強い思いで書いてくれました。

大槌町を訪れ一番驚いたのは、自分が想像していた以上に町の再建が進んでいなかったことだ。吉里吉里第3仮設に住む方に、震災当時の話を聞かせてもらう機会があった。震災時には町が混乱しきっていたこと、十分な支援物資を受け取ることができなかったこと。たくさんの人がひしめく避難所では落ち着くことができず、約100日間も車の中で過ごしたそうだ。しばらくして仮設住宅に入居したものの、あの日以来、気持ちが大きく変わってしまったという。「震災が起こった後、仮設に入って布団を敷いて寝たことがないんです。座ったまま寝ているということが多いです」と話してくれた。

それでも、その方は毎日集会所に行き、人とのコミュニケーションを心がけているという。でも、まるで仕事をするように義務的に笑っている自分がいたり、ストレスで歩いている最中に倒れ、救急車で運ばれたこともあったそうだ。「震災当時と変わったのは、瓦礫が片付いたことと、スーパーが出来たことだけ」。実際に大槌で暮らす方の生の声を聞いて、復興は進んでいないという状況を実感した。
震災から約2年が過ぎ、現地に住んでいない人々にとっては、もう大分前に起きた出来事という認識なのかもしれない。自分も震災は過去の出来事だと思っていた。まだまだ復興への道のりが遠いなんて思ってもみなかった。でも、ここでは震災は過去の事ではなく、今も続いている。

現実を少し知ることができた今、被災地の「今」をもっと知ってもらいたいという気持ちが強くなった。インターン中は、住民の方の思いを聞かせていただき、私自身も苦しい気持ちになることが多かった。でも、この現実から目を背けてはいけないと強く思う。しっかりと現実を認識した上で、見たこと、感じたことを多くの人に伝え、現地から情報を発信していくことが、私たちにとって一番大切なことだと思うようになった。この経験を活かして、これからも多くの人に伝えていきたい。

(学生インターン・佐々木 百合)

<そのほかの活動報告はこちらからご覧いただけます!>
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