#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalist)の活動を紹介しています!

「正解」ではなく「ルーツ」を見据える ― 私にとっての「働く」論

7月30日に開催した「ジャーナリストとキャリア あなたの「働く論」を考える」のレポート記事を、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)サポートメンバーであり、ビジネスワイヤ・ジャパン勤務の荒川亜衣さんに書いていただきました。

あなたは今、ご自分に合った仕事をされていますか?そう思う理由は何ですか?

ジャーナリストや編集者には面談の機会はあってもキャリア研修を受けたという話をあまり聞かないのでJCEJでやってみようという藤代さん(JCEJ代表運営委員)のアイデアで(事実、類似したワークショップに過去参加した経験があるのは藤代さんだけでした)、7月30日にワークショップ「ジャーナリストとキャリア 〜あなたの『働く』論を考えてみよう」が開催され、キャリアカウンセラーのくりおねさん(@clione)が講師としていらっしゃいました。

● 参加動機

「ジャーナリストが働くことを考えるって?」
ジャーナリストではない自分は、ジャーナリストが目的をはっきり持ち、やりたいことや今後手がけることを明確に見据えているイメージを勝手に持っていました。それゆえに、「働く」ことそれ自体について考えるジャーナリストの皆さんの姿が想像できず、どのようなワークショップになるのかという好奇心があり、参加しました。もちろんそれだけではなく自分自身にとっても、今の仕事がなぜ気に入っているのかを分析し、今後仕事に関する選択が必要になった時のヒントにもなるかもしれないと思ったことも参加の動機となりました。

● 今回設けられた特別ルールの確認

参加者は社会人のみで、3つのテーブルに各3-4名ずつという少人数制です。
またそれぞれのこれまでの働き方だけではなく個人の思いや悩みが出る場であるため、人の発言をワークショップの外へ出すことは禁止です。

● くりおねさんによる「キャリア」についてのレクチャー

「働くことを通して生きていくこと」
これは「キャリア」という言葉の、今回のワークショップ内での定義です。
今回は職務経験といった狭義ではなく、人生という時間の流れの中でどう「働く」という轍を刻むかについて考えるとのこと。良いキャリア、悪いキャリアというのは無く、自分にとって合っているかそうでないかだというくりおねさんの言葉が印象的でした。

● ワークショップ:(ジャーナリストとしての)私の「働く」論を考える

今回採用された形式「ワールド・カフェ」はいわば「決めない会議」。私を含めた全参加者の7割以上が未経験でした。模造紙が置かれたテーブルには4人が座り(聞く・話すのバランスが最も良い人数だそうです)20分の会話が3ラウンド行われますが、ラウンド毎に一人のテーブルホストを残し、メンバーを入れ替えます。これはアイデア「他花受粉」することが目的で、テーブルホストは新しく移ってきたメンバーにこれまでの内容を伝え、他のテーブルに移ったメンバーもこれまでの内容を新しいメンバーとシェアすることでアイデアの伝播が行われます。

進行やまとめをしない、問いに意識を集中する、話すだけではなく相手の話に耳を傾ける、アイデアをつなぎ合わせる、時には目の前の模造紙に落書きをしてみるなど、会話を最大限に楽しむためのエチケットや、制限時間が来たらくりおねさんが手を挙げ、それに気づいた人も挙手していくルールなど、全てがとても面白く新鮮でした。

ラウンド1:あなたの「働く」に影響を与えたエピソードにはどんなものがありますか?

まずはこのテーマについて自由に話し合い、探求します。興味深かったのは、大学で学んでいたことが面白くなかった、前職が退屈だった、上司・同僚が重視していた業務内容が自分にとっては手を抜きたいポイントだった、父親がつまらなそうな仕事をしていていたなど、各自がつまらないことを経験し、そこから「つまらなくない」仕事にたどり着いているという共通点がこのテーブルで見えた点です。

ラウンド2:あなたが働く中で「ささやかだけど大切にしていること」は何ですか?

前テーブルで話したアイデアを他花受粉させつつ、この問いについて次に考えていきます。
読者を意識して記事を書くという発言から(前テーブルでは全く逆で、読者が見えなくなる記者という発言が出ました)伝染するように、自分の仕事の相手から色々な反応があると楽しいという話になりました。私自身、自分のワクワク感が仕事の相手に伝わり仕事がスムーズになる瞬間が好きなので、共感が出来たラウンドでした。

ラウンド3:「あなたにとって仕事とは何ですか」と就活生に聞かれたら、何と答えますか?

これまで話したことをさらに他花受粉させながら、この質問について意見を述べます。
本や論文など形になること、生きた証を長く残すことという2つの意見が出た時には同じ「形を残す」ことに思えましたが、前者は形になることに重点が置かれ、後者は形になってからなるべく長く残ることが大事という違いがあることが分かり、印象的でした。

● 自分にとっての「働く論」のまとめ

これまで話したことを基に、「自分にとって働くことは何か」「なぜそう思うのか」「関連する経験などのエピソード」を1〜2分に話せるよう整理し、各自発表を行いました。

参加前は、専門性と世間での需要、将来性などの観点から今後のキャリアについて熟考するジャーナリストの皆様の姿を想像していましたが、「人生」というもっと大きなテーマの前で自らのたどってきた轍を見つめ、アウトプットする皆さんの姿がありました。自分も経験にある前向きではないエピソードなどに関してアウトプットするか躊躇しましたが、発言後にそれが別のアイデアへ伝播するのを実感できたのは、嬉しい経験でした。

他の人よりもいち早く良い記事を書いて評価されるため、そもそも生きるため、価値を創造すること、生きていることそのものなど、参加者にはそれぞれの「働く論」があります。そのどれにも正解はなく、ただ各々の「ルーツ」がこのワークショップを通して垣間見えました。

私にとって働くことは、生きるための手段であるほかに、自分のワクワク感が他の人に共有される機会がある場でもあり、また「できない」と自分が思い込んでいる壁を超える手段のようです。これまでで一番人に会う機会や「壁越え」を要求される機会が多いこと、また越えるだけではなくその後にその成長をさらに活かすことができる機会が見つかることが現職では気に入っていることなのだと、今、ここでブログを書いていて気づきました。

「今の仕事、合っている?」と問われたら、「自分のルーツに従っているから、合っている」といつも答えられるようになりたいと感じたワークショップでした。

(サポートメンバー・荒川 亜衣)


荒川さん、ありがとうございました。
近日中に他のメンバーのレポートもアップする予定です。お楽しみに!