日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)では、若手向け「ジャーナリストキャンプ広島2012」を4月29日から1泊2日の日程で実施しました。
<概要はこちらから>
<これまでの参加者報告>
- 蛇口の水、発射されたミサイルから「新しいメディア」を考える 参加者報告vol.1
- 「やってみました」だけの紙面とFacebook連動を考え直したい 参加者報告 vol.2
- フェイスブックを使った事がない僕は原始人だった 参加者報告vol.3
- 自分が「何を表現していくか」本音を再認識した 参加者報告vol.4
今回はジャーナリストキャンプの後に参加者に書いて頂いた感想をご紹介します。
安っぽい言葉だが、記事を書きたいと思う「刺激」をもらったことが一番の収穫。最近は仕事に追われる形で記事を書いてしまうことがあり、取材がおっくうなことも少なくなかった。
他己紹介では、ワンフレーズで人を引き付ける言葉の面白さを知った。新しいメディアを考えたワークショップでは発想や表現の自由さを感じた。
ペン1本、写真1枚で社会や地域を動かすことができる境遇に感謝し、いま一度気合いを入れ直して、頑張ってみようと思う。(勝部浩文)
キャンプに参加して、同世代の若手記者と話す内に、仕事に対する不安や悩みを引き出してもらいました。そして自分は何を書きたいのか、問い直す機会になりました。
新聞社に入社して一年。私という個人にかっちりと「記者」という枠を作っていたように思います。「社会」や「世間」という漠とした単位に逃げ、目の前の取材対象や読者、そして自分の感覚を大切にした仕事ができていたかを考えると胸が締め付けられました。
同世代の記者とソーシャルメディアの活用策を話し合えたことは、「新しいメディアを創るのは私たち世代なんだ」という意識改革になりました。新たな取り組みや媒体にチャレンジし、常に問題意識を持ち続けることが私たち若手記者に必要なセンスだとひしひしと感じています。(滝尾明日香)
新聞記者さん等「伝える」事を仕事にされている方が多い中、 公務員ということで、少し違った立場で参加させていただいたのですが、 大きな刺激をいただきました。
「報道と行政」「住民と行政」等は、対立構図として取り上げられることが多く、ある種のレッテルを貼られていることが多いと思いますが、こうして顔を付き合わせて話し合うことで、そのレッテルが剥がれていく。やはりコミュニケーションが大事だなあと思います。
facebookもそうですが、正直に書いた方が、読まれるし人の心にも届くように思います。先入観に縛られ過ぎず、積極的にコミュニケーションをとろうとすることで、だんだん性善説が強化されていくような感覚もあります。今後も活動に関わらせていただき、もっともっと伝える力をつけていきたいと思います。(宍戸俊悟)
「何がニュースか」。今回、「自分」「読者」「相手」の3つの円が重なりあった部分がニュースということを確認し、自分の「器」をいかに大きくしていくことが大切かをあらためて認識した。
何がニュースかをいつも自問自答しているつもりではある。ただ、日々の仕事に追われ、ニュースというものを記者の感覚で独善的に決めていないか。読者を置いてきぼりにしていないか。ふと立ち止まって考えるいい機会になった。
また「他己紹介」も大いに勉強になった。短い時間で相手を取材し、特徴的な言葉で人を表現する。いかに相手とコミュニケーションをとり、その人の言葉を引き出すか。取材のセンス、見出しをつけるセンスの有無も判明するようで、若手の訓練にはもってこいのものだった。確かに飲み会とかでも盛り上がるかも。
何でもメディアになる時代。その中で新聞という紙媒体はどう進化していくのか。自分なりに考えてみたい。そう思えたキャンプだった。(胡子洋)
普段の取材とは違い、記者、ライター、自治体などさまざまな立場の方と新しいメディアや表現したいことについて一緒に考えたり、交流したりすることで改めて自分を見つめ直すことができた。
気付いたら1日が終わっている日々が続いていた中で、楽しむことや、自分のやりたいことを考えることができていなかった。ジャーナリストキャンプに参加したことで初心を思い出し、また、他の参加者の思いや考えを共有したことで刺激を受け、濃い2日間を過ごすことができ、疲れの中に充実感を感じた。今後、日々悩みながらも取材相手など多くの人と会い、意見を交わし、楽しむことを忘れず読者に有益な情報を届けられるように努力したい。(熊谷美咲)
最初のルール説明であった「批判せず、人の話を聞く」ということは簡単でなく、相手の主張に耳を傾け、褒めることには技術が必要だとつくづく感じました。また、本橋さんによる「新しいメディアを創る」講義&ワークショップでは、「イノベーション」という言葉をポジティブに捉え直せたことが、私にとっての大きな収穫だったと思います。
というのも、私は「イノベーション」を推奨する態度に懐疑的で、さまざまな理由によって「新しいこと」が生まれない現状で、「新しいこと」を推奨し「現状維持」を否定しかねない「イノベーション」の態度こそが、日本に閉塞感を生む原因のひとつと考えていたからです。しかし、「イノベーション」というのは、単に「新しいこと」をひたすら是とする概念でなく、個人の強烈な個性(インタレスト)であって、それを認める多様性そのものなのかもしれない…と、受け止め方がちょっぴり変わりました。
今は、新しいモノ・コトだけでなくて地域などに眠る「資源の再活用」なんかもイノベーションのひとつなのかなぁと、想像しています。また、実際にワークショップに参加してみて、私個人には強烈なインタレストはないな、と感じて(参加するまでは、強烈なインタレストを持っているような気もしていたのですが、勘違いだったみたいです…苦笑)、自ら率先して人を巻き込み「インタレスト」をカタチにするより、「インタレスト」を持つ人をサポートする方があっているかもしれないと自己発見し、新しい可能性にワクワクしているところです。(清水美奈)
振返ってみると、仕事以外のテーマで真剣に議論することってなかなかありません。自由にアイデア出して〜、と言われて考えてもなかなかな出ない。無意識に制約条件を設けてることが多く、普段を振り返り反省しました。
記者では無い僕も、人から話を聞くことはとても楽しいことを改めて感じました。楽しいだけじゃなく、読み手を意識して聞き、自分の言葉で伝えること。記者の方たちが普段行っているこの意識を学べたことは、今後の自分の仕事に必ず活きます。
一番印象に残ったのは、藤代さんと朝食中にお話したことです。ハッキリ意見する人と柔らかく意見する人がいるとすると、僕は後者。それを悩み、ハッキリ意見が言える人に憧れ、自分もそうならなきゃ変わらなきゃって焦ってました。藤代さんは、柔らかく意見できること自体、それも武器であり、ハッキリ意見する人と組めば強い。無理に変わる必要なんて無い、ということを教えてくれました。変わらなきゃ、直さなきゃ、無理しなきゃ、という焦りが吹っ飛びました。朝食の偶然の会話から頂いたアドバイスは、日常生活をともにできるキャンプならではの大きな収穫でした。(奈良井健悟)
中国新聞さんのフェイスブックを活用した取り組みや他社の電子化に向けての対策が印象に残りました。詳細は省かせていただきますが、「新聞紙」を売るのではなく「情報」を売る時代になる(なっている)中で、新しいビジネスモデルとは何なのか。すぐには答えが出ないとは思いますが、新聞社の事業を考え直すとてもいいきっかけになりました。他紙の記者の皆様ありがとうございました。(大久保光機)
どうしてこの仕事を選んだのか。久しく考えてこなかった理由を自分に尋ねる機会になりました。地域に住む1人の伝え手として役立ちたい。新聞社を巡る環境の厳しさや風当たりが増す中で、新聞を真剣に議論する場にもうれしさを覚えました。誰もが発信源になれる社会で、当事者ではない記者がどこまで真相を伝えることができるのか。伝え手が多数いる中で、1人の伝え手として何ができるのか。はっきりとは分かりません。
1つ感じたのは、個人の役割が一段と問われること。伝え手が増えても、どこに視点を据えるかで異なる断面が見える。書きやすい情報を書くのではなく、相手が知りたい情報を伝える。言うは易くの通りですが、より問われていると感じました。本音や真相が知りたい―。「カリスマ」の登場や特定の個人に着く大勢のフォロワーは、情報が溢れるからこそ登場するのではないかと思います。正確な情報ならば、求められるのではないかと考えます。
本橋健さんの「読者が求めるのは紙ではなく、情報そのもの」という言葉が印象に残りました。新聞社にいると「紙の信頼性」という言葉に行き着きます。紙媒体の信頼性が問題ではなく、そこで考えを止めていました。既存の考えを取り払うことの難しさ。入社して数年でも感じました。
自分の仕事について真剣に考えたり、悩んでいたり、そういう同業や別業種の同世代の話や姿を知ることが大きかったです。フェイスブックやSNSをきっかけの1つに、直接、人に会って話を聴く、話をするおもしろさが詰まっていたように感じました。(山田太一)
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