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世の中の膨大なデータをいかに見やすく、解りやすく伝えていくかー「データジャーナリズム実践:Googleを使って社会を読み解く」感想レポート

4月14日に萩原雅之さん(トランスコスモス株式会社理事、マーケティングリサーチャー)を講師にお招きして行ったワークショップ「データジャーナリズム実践:Googleを使って社会を読み解く」の感想レポートを参加者の降旗愛子さんに書いて頂きました。

19世紀の初め、世界の最先端はイギリスやオランダであった、第二次世界大戦時に日本の人口が急減した、文化大革命によって中国は人口が急減したがここ数十年で急速に発展を遂げて欧米諸国を追いかけてきている、しかしその中国でも上海とその他地域では生活水準に大きな開きがある———こうした事は、たいていの人が学校で学んでいるはずだ。だが、それは教科書の中の出来事で、本当に理解できているといえるだろうか。

先般、3月3日に東海大学で開催された「ジャーナリスト・エデュケーション・フォーラム2012」にて、本日の講師でもある萩原氏より英BBCの「The Joy of Stats」を紹介された。この映像は私にとってちょっとした衝撃であった。
そこでは、この200年に地球上でおきた変化が、所得と平均寿命という切り口から、ヴィジュアル化されたデータでとても解りやすく解説されていた。どんなに言葉で説明するよりも、この4分程度の映像を見た方が、200年の地球の変化がよくわかるだろう。

今回は、先般のセッションのワークショップ版ということで、「Google Public Data Explore」や「Google Insights for Search」といったツールを使って検証したいテーマを設定し、実際にデータを収集、分析、解釈した。
冒頭で、萩原氏が「データや調査結果は伝わらなければ意味はない。可視化は読者に何かに気付いてもらったり、発見してもらったりするために重要である」と指摘された。
さらに、「データはある。皆さんの頭の中にある切り口が重要。何か問題意識があって、はじめて分析ができる。」とも。まさにその通りであると思う。

人に伝えるという目的以外にも、視点を変えてデータを可視化することは、自らにも新しい「気づき」を与えることができる。
1つのデータでも、切り口を変え、見せ方を変えることで、新しいテーマが浮かび上がってくることもある。
また何より、ただの数字の羅列よりも、ヴィジュアル化されたデータのほうが見ていて楽しいではないか。
私は調査会社に勤務しており、日々いろいろなデータに接している。だがこのように、相手にわかりやすく伝えるためにヴィジュアルまできちんと考えられたデータを提供してきただろうか。

インターネットが出現し情報化社会が進む中で、近年「ビッグデータ」や「ライフログ」といったワードも出てきている。
世の中のありとあらゆる出来事や、個人の行動、そのときのリアルな感情の動きまでもがデータ化され、永久的に蓄積されていく時代になっている。
これらは、これからのビジネスや社会を考えて行く上で得がたい材料になり、新たなヒントを与えるだろう。
しかし一方で、独自の解釈を持ってきちんと整理され、さらにヴィジュアル的にも解りやすく伝えられなければ、どんな有用なデータであっても、莫大なデータの渦に飲み込まれてしまいそうだ。それは、とてももったいない話である。

膨大なデータを正しく有効に活かしていくために、データの可視化、わかりやすく伝えるための努力は怠ってはいけない。先日のセッションと今回のワークショップを通じて、そう痛感した。

(報告:降旗 愛子)

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