#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

ワークショップ「伝えたくなる文脈づくり〜クチコミマーケティングの現場から」感想レポート

10月7日に日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)で行ったワークショップ、「伝えたくなる文脈づくり〜クチコミマーケティングの現場から」の感想レポートを、サポートメンバーの山村さんに書いて頂きました。


レッド、ブルー、イエロー、ホワイト、ピンク…さて、これらの共通点は何でしょうか?
答えは、啓蒙活動に使用されるリボンの色です。AIDS/HIVへの理解を促すレッドリボン、乳がん検診を促すピンクリボン(10月は乳がん月間です!)などが有名です。各カラーが表わす内容は1つではなく、複数の啓蒙活動のシンボルとして使用されています。

私は大学生の時に友人と、平和を意味する白いリボンの活動を行ったことがあります。2004年でした。
赤い羽根募金のように道行く人に声をかけることはせず、街頭に立っている私たちを見て、ホワイトリボンの意味に興味をもってもらう、というのが趣旨でした。いま考えると不気味な感じもしますが、友人と私がこの手段をとったのは、デモに参加してシュプレヒコールをあげることに抵抗があったからでした。

学生時代を過ごした宮崎市で実際に行われていたデモは、拡声器の声に合わせて低い声で主張し、こぶしを突き上げて歩いていました。傍目から見ると、大人数が真剣な顔をして歩いていることに同調できず、できるだけ遭遇しないように遠回りしたことを覚えています。

知ってもらう、という意味でデモという手段が重要なこと、真剣に参加されているのは理解しています。ただ、主張するにも他の方法がないのかなぁ、もう少し楽しくできないのかなぁ、と思っていました。参加している人が楽しいと感じると、見ている人にもそれが伝わり、「じゃあ、私も参加してみよっかな」という感情が起き、実際の行動につなげる人も出てくると思うのです。

クチコミにも同じ思考・行動過程があるのではないでしょうか。「(聞いて、見て)知り、感情が動き、他の誰かに伝えたくなる」。じゃあ、どういう仕掛け(?)だったら、友人や知人に伝えたり、Facebookにアップしたり、ツイートしたくなるのか。マス・メディアを通しての情報伝達ではなく、クチコミで伝えたくなる具体的な手法を知りたい、と考えたのが今回参加したきっかけでした。


ワークショップは2部構成で、講師の細川さんからPRとはなどのレクチャーを受けた後、グループワークへ移りました。全体の内容は、JCEJ学生運営委員の方の報告が詳しいのでそちらをご覧ください。
講師・細川さんのレクチャーでは、パブリシティ活動が以前ほどの有用性を持たなくなっているという話がありました。

私は、パブリシティ活動の成果をクライアントへ報告する業務を担当しているのですが、新聞や雑誌・TVなどの媒体にこれだけの量が掲載されたから成功という評価方法への需要は、これから10年後ものすごく小さくなっていくように感じました。

また、紹介されていた今年のカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルの映像のなかで、Human Rights Watchの「Burma Political Prisoners Art and Photo Installation」が、とても印象に残っています。ビルマミャンマー)の政治犯釈放のための署名を、ニューヨークのセントラルステーションに設置した広告で促すというものでした。おそらく広告で見るまで知らなかった遠い存在のために、駅に来た人が自然と足を止めて署名する、感情を動かして行動へつなげるパワーがすばらしかったです。

グループワークは、「オフィス街のファストそば店、ゆったりとした4人掛けの席や内装などの工夫で男性が中心の従来の顧客層に加えて、女性や子ども連れへと客層を拡大するのに、どうやってクチコミで集客するか」がテーマでした。

私たちの班では、4人掛けの席をどう活用するか、が課題にあがりました。私を含めた女性3人中、3人ともお昼はだいたい1人でとっていました。混んでいる時間帯だと4人掛けの席があるお店などでは、ほとんどが合い席となります。
この合い席を出会いの場として活用しできないかという案をきっかけに、「出会いの親子丼」や「ラブ親子丼」などのキーワードや、男女が合い席をお願いするための『愛席』カード、SNSでつながりを作っていくなどの案が出てきました。
最終的に、「安心亭の『愛席』カードを利用した男女が、カップルとなり結婚した事例がクチコミで広がり、集客に寄与した」というストーリーが出来上がりました。

しかし、この情報が本当にクチコミで広がっていくのか私は確証が持てませんでした。ストーリーはできたけれど、リアルやインターネットでクチコミが本当に広がるのか、目に見えるプラットフォームが選択できず、情報の拡散が把握できないことに不安を覚えました。

別の班の発表で、日本人の50%は自分のことを普通だと思っているというアンケート結果をもとに「フツー」をキーワードに親子丼を売り出し、パッケージにも『フツーの親子丼』と印刷して、お持ち帰りしたサラリーマンがオフィスで見て、クチコミになる・・・という案を聞いたときに、「これが360°のコミュニケーションだ」と閃きました。
「360°のコミュニケーション」イコールクチコミ、ではありませんが、ある意味一方通行のパブリシティを中心にしたPRと〝クチコミを意識したPR〟の違いを、明確に意識しました。これからこの閃きを私のライフワークに活かしていくことが課題です。
運営委員のみなさん、機会をありがとうございました!

(山村 祥代)

・学生運営のレポート(ワークショップ「伝えたくなる文脈づくり〜クチコミマーケティングの現場から」を行いました