#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

「ローカルジャーナリストガイド」完成記念イベントを開催しました!

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は5月25日(金)、「ローカルジャーナリストガイド」の完成を記念して、ヤフーのコワーキングスペース「LODGE」でイベントを開催しました。地域メディアNPOなどから50人が参加、最も遠い参加者は鳥取県からでした! 

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最も難しい「どうやってニュースを見つけるのか」

ガイドは、1章のニュース発見、2章の取材、3章の執筆、4章の発信、そして5章の心構えまで、シーン別に細かく分かれています。その中でも、苦労したのは「ニュースの発見」でした。

ローカルジャーナリストでJCEJ運営委員の田中は「地域で情報発信をしたい人と話をすると、ニュースとは何か分からない、とよく聞かれる」と指摘。栃木県足利市NPOコムラボの山田雅俊さんも、「自治体のライター講座を運営しているが、どうやってニュースを見つけるのか、受講生から必ず聞かれる」と話しました。

執筆者で議論を重ね、「自分の驚き、ワクワク、があるかどうかが一番大切」「それがないニュースは、読んだ人にも届かない」とし、発信の種を見つける参考にしてほしいと伝えました。

また、ガイドの各章にはよくある「失敗談」も盛り込まれています。

朝日新聞記者の関根和弘さん(ハフポスト日本版ニュースエディター)は「ガイドの中で一番役立つと思っている。(記者の仕事の中で)膨大な数の失敗を積み重ねて(学んで)きたので、参考にしてほしい」。 沖縄タイムス記者の與那覇里子さんは「方言は効果的だけれど、そのままでは伝わらない」とポイントを解説しました。

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自分のワクワクから「地域ごと」を考えて

後半は、地域メディアの記者、企業の広報やライター、NPO職員など、様々な参加者とグループに分かれてディスカッションを行いました。

地域から情報を発信しようとブログを書いていたという参加者の「何を書いていいのか分からなくなり、続かなかった」という相談に、執筆者はガイドを示しながら、自分のワクワクから出発し「地域ごと」を考えてほしい、などと回答しました。

ほかにも、「相手が伝えたいことと、こちらが伝えたいことの間にギャップがある場合にどうすればいいか」、「地域からの発信にはよそ者目線が必要ではないか」など、幅広い議論で盛り上がりました。

イベントにお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました! 

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JCEJでは、地域で暮らし、地域から発信したいと思っている方々、どうしたらいいか悩んでいる方々に届くように、ガイドを使った講座を各地で開催していく予定です。講座は決まり次第、このブログでお知らせしていきます。

【終了しました】「フェイクニュースから見るデータ社会のインテリジェンス」 ~プラットフォーム企業、広告モデル、民主主義のあり方~

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、「A Field Guide to Fake News and Other Information Disorders」の日本語版「フェイクニュース調査のためのフィールドガイド」の公開を機に、政策分析ネットワークと共催し、フェイクニュースとデータ社会のあり方について考えるイベントを開催します。

<開催趣旨> フェイスブックからデータを収集したケンブリッジアナリティカによるアメリカ大統領選挙における世論操作、ロシアによるフェイスブックツイッターの広告を利用したプロパガンダが大きな問題となっています。プラットフォーム企業によるデータ収集と利用、それを支える広告システムが、民主主義社会を揺るがし、企業のリスクにもなっています。国内でも文具専門店の伊東屋がデータ活用方法に賛同できないと、フェイスブックページの閉鎖を決めています。その一方、データ活用を国家的に推進するロシアや中国とどのように対峙するかという問題もあります。プラットフォームへの規制、広告のあり方、ジャーナリズムの役割、インテリジェンス、などについて幅広く議論します。

日時:2018年6月9日(土)14:00~16:00

場所:新日本有限責任監査法人・第1セミナールーム :(日比谷国際ビル5階:千代田区内幸町2-2-3)

定員:200名(先着順)

参加費:無料

主催:政策分析ネットワーク、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)

 

パネリスト:

NHK報道局ネットワーク報道部副部長 足立義則

ソーシャルメディア情報を分析、収集、報道と連携するソーシャルリスニングチームSoLT担当

日本経済新聞編集委員 奥平和行

シリコンバレー支局、名古屋支局などを経て現職。IT、自動車、スタートアップを取材

株式会社企(くわだて)代表 クロサカタツ

各国のネットや通信事業の政策調査、コンサルティングを行う。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授

スプラウト代表取締役 高野聖

ホワイトハッカー集団によるセキュリティ企業の代表。著書にサイバー空間の無法地帯に迫った『闇(ダーク)ウェブ』

JCEJ代表運営委員 藤代裕之

ジャーナリスト、法政大学准教授。著書にフェイクニュースとネットの構造を取材した『ネットメディア覇権戦争 - 偽ニュースはなぜ生まれたか』

 

全体進行係:政策分析ネットワーク事務局長 田幸大輔  

【政策分析ネットワークについて】 「立法・行政(中央省庁/地方自治体)・ 民間企業・大学・シンクタンク・マスコミ・ NPO/NGO有識者」などの政策関係者による、 様々な政策課題(社会課題)について、 「政策議論(建設的な官民政策対話)」と 「官民人的交流」の促進を図るための、 「官民連携型:政策プラットフォーム」。1999年4月設立、代表:東京大学名誉教授 伊藤元重

 

jcej.hatenablog.com

栃木県足利市、長野県松本市でメディアリテラシー講座を開催しました!

ソーシャルメディア上の誤情報に惑わされないためにはどうすればいい?

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)運営委員の耳塚佳代が、4月29日に栃木県足利市、5月13日に長野県松本市メディアリテラシー講座を開催しました。Readyforのクラウドファンディング「ネットを信頼できる場所に。フェイクニュース調査プロジェクト」にご支援いただいた方々へのお礼として実施し、2会場で計19人が参加してくださいました!

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善意のつもりでも......

足利市の講座参加者は、主にライターとして地域の情報を取材・発信している方たち。講座ではまず「フェイクニュース」問題をめぐる海外の動向を解説。日本国内でも、大手IT企業ディー・エヌ・エーDeNA)が運営するサイトで根拠があいまいな医療情報などが掲載されていた問題や、事件や事故、災害時に拡散するデマなど、ソーシャルメディア上には間違った情報もあふれているという現状について学びました。

また、「フェイクニュース」と一言で言っても、記事や写真、だます目的で作られた偽サイトやなりすましアカウントなど、さまざまな形態が存在します。これを踏まえて、ソーシャルメディアの情報をシェアする前には、筆者名や連絡先、ページのアドレス、写真の撮影日時、引用されているソースは信頼できそうかーーなど、最低限確認すべき点についても確認しました。

特に災害時などは、間違った情報が人々の行動を左右してしまう場合もあります。参加者の一人は「善意のつもりでも、気軽にシェアすれば影響を与えてしまうことを意識できた。情報発信者としても、気をつけていきたい」と話していました。 

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 なぜシェアしてしまうの?ワークで学ぶ

松本市の講座には、主に子育て世代や、教育に携わる方が参加。インターネットの記事を例に「事実」と「意見」を見分けるワークを通じて、情報との向き合い方を議論しました。一見すると「客観的な事実」のようでも、筆者の憶測や感想が混じった文章もあり、参加者の意見が分かれる場面もありました。

また、広く拡散される誤情報は、不安、驚き、怒りや好奇心といった感情を強く揺さぶるものが多い傾向にあります。実際にツイッターに投稿された偽コンテンツを用いて、「どんな感情を揺さぶる目的で作られているか」「どんな気持ちでシェアしてしまうのか」を議論するワークも行いました。

普段から、特に健康・子育てに関する情報との向き合い方に戸惑っていたという方も多く、「情報をどんな視点で見れば良いのか学べた」という感想もいただきました。

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 クラウドファンディングを通じて、講座開催の機会をいただけたことに感謝しています。今後、リテラシー講座の内容はさらにブラッシュアップしていきたいと思います。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!

 

JCEJは、クラウドファンディングのご支援で「フェイクニュース調査のためのフィールドガイド」日本語版を発行しました。無料ダウンロードが可能です。詳しくは下記ブログ記事をご覧ください。

 

【満員御礼】地域発信の教科書できました〜「ローカルジャーナリストガイド」完成記念イベントを開催します!

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、地域からニュースを発信したい人に向けた「ローカルジャーナリストガイド」を発刊します。完成に合わせ、5月25日(金)に東京都内でイベントを行います。この本を最も早くお届けすることができる機会となりますので、ぜひご参加ください!

*:本イベントは定員に達しましたので予定より早く締め切りました。申し込みありがとうございました。今後も各地でイベントなどを行う予定です。決まり次第ブログでお知らせします。

 

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これまで、「地域からニュースを発信したいが、どうしていいのかわからない」という声をよく聞いていました。ジャーナリスト志望の人に向けて、文章の書き方や取材の仕方をまとめた本はありますが、取材は取材、文章は文章と分断されがちであること、また、新しいソーシャルメディア時代に対応できていないのではないかという問題意識もありました。

そこで今回は、地域からの発信を実践する記者やローカルメディア運営者など5人が執筆を担当。昨年9月から何度も議論を重ね、1章のニュースの発見から、2章の取材、3章の執筆、4章の発信、5章の心構え、まで順を追ってシーン別に細かく分解してメソッドとして伝えることを意識しました。

地域から発信する際に必要なことや気を付けるべきことについて、体系的に学ぶことができる1冊になったと思います。

イベントでは、この本を活用していただくために、執筆者からポイントなどをお伝えします。来場者のご意見は、今後の冊子のブラッシュアップに反映させていきます。

取材やライティングの経験者だけでなく、これから取材をしてみたい、地域の情報を発信してみたい、という方も大歓迎です。

 「地域発信の教科書できました〜『ローカルジャーナリストガイド』完成記念イベント」

 

◆日時

5月25日(金)19時〜20時30分(18時30分受付開始)

 

◆会場

東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス内 株式会社ヤフーのコワーキングスペース「LODGE」(当日は東京ガーデンテラス2階のエントランスから18階のイベント専用受付にお越しください)

 

◆登壇者(敬称略)
関根和弘 朝日新聞記者(ハフポスト日本版ニュースエディター)
田中輝美 ローカルジャーナリスト
山田雅俊 コムラボ 代表理事
那覇里子 沖縄タイムス記者

 

◆参加費

1,500円(会場にてお支払いください)
参加者全員に「ローカルジャーナリストガイド」(ver1)を配布します

 

◆定員
50人

JCEJ provides resources to help journalists in social media coverage

Japan Center of Education for Journalists (JCEJ) offers various resources to help journalists cover and investigate online content in the digital age. We've recently translated two guides into Japanese. They are both freely available on our website

A Field Guide to 'Fake News'

Our latest translation project features A Field Guide to 'Fake News' and Other Information Disorders, a work by Public Data Lab. It contains digital methods to help investigate dissemination of misleading content, trolling activities, political memes and other issues related to recent conversation around 'fake news' and social media trust. 

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A team of JCEJ members and journalists translated the guide as part of our research project on dis- and misinformation in Japan, with permission of Public Data Lab. We raised funds for our translation through crowdfunding

Here's a comment from Jonathan Gray, one of the guide's authors and lecturer in Critical Infrastructure Studies in the Department of Digital Humanities at King’s College London / cofounder of the Public Data Lab;

We’re delighted to see the Japanese translation of the Field Guide to ‘Fake News’ and Other Information Disorders”. Through its various recipes we hope to inspire investigations and experiments not only around misleading content, but also the platforms, infrastructures and algorithms through which they are shared, quantified, monetised and through which they gain their viral character. Recent events serve as a reminder that this remains a vital area for research, reporting, public debate and public policy - and we look forward to seeing how the guide is used in Japan.

A Journalist's Guide to Social Sources 

We've also translated A Journalist's Guide to Working With Social Sources written by Claire Wardle, executive director at First Draft, a project of the Soreinstein Center. The Japanese-language version of the handbook has been used by a number of Japanese media organizations for in-house training. 

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On the release of the Japanese-language version, Claire commented as follows;

I wrote the Guide to Social Sources as we kept hearing journalists asking the same questions about the challenges of using images and videos that they were finding on social media in their reporting. We decided to answer the ten main questions in one handbook. We have received really positive feedback about the handbook and we're so pleased to see it translated into Japanese.

 

We hope to further expand our collaboration with journalists and researchers around the world to share knowlege and experiences on journalism skills. 

For our research project on 'fake news' in Japan, please also see the blog post below.

 

  

フェイクニュース調査ガイドの日本語版完成!無料公開しました

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、「A Field Guide to Fake News and Other Information Disorders」の日本語版「フェイクニュース調査のためのフィールドガイド」を報道機関の記者らの協力を得て作成しました。報道機関やジャーナリスト、研究者の方々に広く活用していただけるよう無料公開します。

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ガイド英語版は、欧州のリサーチ機関「パブリック・データ・ラボ」が、米非営利団体ファースト・ドラフト」の支援を受けて作成。JCEJが許可を受けて邦訳を行いました。日本語版作成に当たり、Readyforのクラウドファンディングでご支援をいただきました。

 

ガイド著者の一人Jonathan Gray氏(パブリック・データ・ラボ共同設立者、キングス・カレッジ・ロンドン講師)より、以下のコメントをいただきました。

日本語版の完成を嬉しく思います。ガイドを通じて、ミスリーディングなコンテンツだけでなく、プラットフォームやインフラストラクチャーアルゴリズムに関する研究が深まることを願っています。(偽ニュースは)これらを通じてシェアされ、利益を生み、拡散性を帯びます。最近の出来事を見ても、このテーマは研究や報道、議論、そして社会政策の重要な分野だと言えます。日本でこのガイドがどう活用されるか、楽しみにしています。

 

<ガイドについて>

全5 章。フェイスブック上の偽ニュース拡散経路や、ツイッター上の「荒らし」行為、ファクトチェックの取り組みが読者に届いているかなどを調査する手法が、料理本の「レシピ」のような形式で図解とともに紹介されています。調査に使えるデジタルツールも多数掲載されており、目的に合わせて応用することも可能です。

第1章 フェイスブック上でフェイクニュースホットスポットマッピングする
第2章 ウェブ上のフェイクニュース拡散を追跡する

第3章 ウェブページの背後にある広告用の「トラッカー」に注目し、フェイクニュースのサイトを特定する

第4章 フェイスブック上の政治ミームを調査する

第5章 ツイッター上の荒らし行為をマッピングする

 

ダウンロードはこちらから今後、ガイドを使用した講座の開催も予定しています。

 

JCEJは、ソーシャルメディアを活用した取材のハンドブック「A Journalist's Guide to Woring With Social Sources」の日本語版も無料で公開しており、報道機関の研修などで使用されています。こちらも是非ご活用ください。

jcej.hatenablog.com

偽ニュース調査ガイド「A Field Guide to Fake News」の邦訳を進めています

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、欧米の研究者らが作成したフェイクニュース調査のガイド「A Field Guide to "Fake News" and Other Information Disorder」の邦訳を進めています!国内でも報道機関やジャーナリスト、研究者などに広く活用してもらえるよう、今春の日本語版公開を目指します。

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ガイドは、欧州のリサーチ機関「パブリック・データ・ラボ」が、米非営利団体ファースト・ドラフト」の支援を受けて作成。英語版は1月にインターネット上で無料で公開されました。

全部で5章あり、偽ニュースの出どころやフェイスブックでの拡散経路を追跡する方法や、ツイッター上で「荒らし」を行うアカウントの特定、ミーム(ネット上で広まるうわさ)の調査方法などが、料理本の「レシピ」のような形で図解とともに紹介されています。偽ニュースが問題となった2016年の米大統領選や、2017年の欧州選挙に基づく事例を踏まえた、実践的な内容になっています。

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邦訳は、JCEJが新聞記者や研究者、エンジニアらとともに立ち上げた「フェイクニュース研究会」の仲間のサポートで進めています。2月3日(土)には、メンバーが担当部分の邦訳を持ち寄り、ブラッシュアップのミーティングを行いました。プロジェクト資金は、クラウドファンディングで多くの方にご支援いただきました。

国内では、フェイクニュースを取り巻く環境が海外と異なることも予想されます。将来的にはガイドを活用し、日本の状況に合った手法や、国内で使えるデジタルツールについても調査を進めて行きたいと思います。

邦訳プロジェクトについては、ファースト・ドラフトの記事でも紹介されていますのでご覧ください(英語記事)。

firstdraftnews.org