#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

地域の発信者が描いた、新しい東北の魅力とは 「ローカル発・読まれるニュースのつくり方」を開催しました

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は震災から6年となる3月11日(土)、東京紀尾井町のヤフーで、地域からの発信を考えるイベント「ローカル発・読まれるニュースのつくり方」を開催しました。JCEJは昨年から復興庁と「東北ローカルジャーナリスト育成事業」に取り組み、「東北の人」をテーマにした記事がヤフーニュースで計11本公開されました。事業の報告会を兼ね、東北から参加した執筆者らとともにそれぞれの記事を振り返りました。

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セッションでは、指導役のデスクを務めた依光隆明さん(朝日新聞記者)と苅田伸宏さん(ヤフーニュース編集者)が、公開された記事について解説。おすすめ記事や、取材執筆にあたっての工夫や苦労について振り返りました。全作品を、デスクのコメントとともに紹介します。

 

1. 死者の結婚式「あの世」の幸せ願う山形のムカサリ絵馬師

死者の婚礼を絵馬にして弔う、東北山形に残る風習「ムカサリ」。ムカサリ絵馬師が、筆を執り続ける思いを描いた記事。ヤフートピックスに掲載されました。依光デスクのおすすめ記事。

 

2. 花嫁を全力で笑わせる「道化」とは  岩手の「幻」の風習を訪ねた

「長い記事だと2ページ目以降は読むのをやめてしまうものもあるが、うまい書き方で、ストーリーになっている。次どうなんだろう、と見たくなる」(苅田デスク)


3. 廃墟見える岩手のスキー場 バックカントリーで再興 課題は安全対策と自然保護

バックカントリーについての記事は読まれた。写真もとても良く、スキーが好きな人たちに刺さった記事。だいぶシェアされた」(苅田デスク)


4. 「どう死ぬか」ホームホスピス、笑って過ごすもうひとつの家

「センシティブな内容なので、相手との信頼関係がしっかりないと書けない。写真もいいし、お互い看取ってるという環境があることにも驚いた」(依光デスク)


5. 沖縄からふるさと福島へ 元自衛官たちの支援

「沖縄に暮らす、福島出身の元自衛官の記事。人を描くときは、どれだけファクトやエピソードを引き出せるかにかかっているが、具体的な話をたくさん聞き、文章として紡いでいる」(苅田デスク)


6. 「78歳の命」あと何年生きるのか...岩手の過疎地で暮らす被災者の人生

「これは楽天イーグルスの銀次選手に関係する記事になるはずだったんですね…しかしまったく消えてしまった。一番驚いたのはトイレの写真ですね。何年生きられるか、という。これはすごい」(苅田デスク)

 

7. 気仙沼市南町ヴァンガードでコーヒーを 

「雰囲気が伝わる記事。書き手には、相手の中にあるものを取り出す役目もある。もう少し人にフォーカスしてみても、面白い話が出てきたかもしれない」(依光デスク)

 

8. マタギに感銘 秋田にUターン、マタギ見習いになった33歳の試行錯誤

「震災をきっかけにUターンし、マタギツアーを企画しようと奮闘した人の話。本人や周辺から、取材で濃厚な話を聞けている。泣く泣く削るエピソードもあった」(苅田デスク)


9. 地面出し競争 豪雪の山形・肘折で逆境を楽しむ人々

「担当した記事。読んで泣いたという連絡を頂いて嬉しかった。雪を掘って地面を出すという、バカバカしいことに一生懸命な人たちの物語」(苅田デスク)


10. ふくしまオーガニックコットンプロジェクト:口に入れる農作物をつくることができる福島で、「口に入れない農作物」をつくる理由

プロジェクトに関わる当事者が執筆した記事だが「自分がやっているという関係性が、記事の中で明示されていたのはすごく良かった」(苅田デスク)

 

11. 消えゆくものの魅力。天然秋田杉で木桶を作る

「おじいちゃんがニコニコしている写真、職人の顔つきをしている写真...落とすのが忍びない写真もあった。文章も写真も、作品として完結していて、良いものに仕上がっている」(依光デスク)


 セッション終了後は、執筆者と来場者が自由に交流し、記事の内容や東北の魅力について語り合いました。お越しいただいた皆様、ありがとうございました。

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本プログラムは、復興庁の「新しい東北 情報発信事業」に選定された「ローカルジャーナリスト育成講座」の一環で、Yahoo!ニュースの協力を得て行われています。地域に暮らしながら、外に情報を発信できる「ローカルジャーナリスト」の育成を通じて、東北の新しい魅力を全国に届け、ヒトやモノを動かす循環を作り出すことを目的としています。