#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)の活動を紹介しています!

異業種の猛者たちが集うデータジャーナリズム「天下一武道会」

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が11月30日、12月1日に開催した「データジャーナリズム・キャンプ」の様子をご紹介します。ヤフーニュース編集部の伊藤儀雄さんが取材・執筆して下さいました!まずは前編からどうぞ。

異種格闘技天下一武道会」と形容できるでしょうか。六本木の会場は、それくらいの熱気に満ちていました。



異なる職種の専門家がチームを組んでデータジャーナリズムに取り組む「データジャーナリズム・キャンプ&アワード2013」。参加者たちは2日間のキャンプ形式で、自分の専門分野とは異なる分野の講義を受けた上で、アイデア出しや制作に取り組みました。キャンプ終了後は、チームごとに制作を進め、12月27日に作品を発表。優秀な事例を表彰するアワードも開くことになっています。

ジャーナリスト、アナリスト、デザイナー、エンジニアという4つの職種に選考を通過した32人が参加。4人1組の8チームがキャンプに臨みます。当日集まった参加者の所属は、新聞社、ウェブメディアや大学などさまざま。IT企業に勤める女性デザイナー(28)は「データのわかりやすい伝え方を勉強したくて参加しました。『データジャーナリズム』がどういうものかあまりよく理解していませんでしたが、単にデータをビジュアライズするだけでなく色々な可能性があることがわかったので、良いアウトプットにつなげたい」と意気込んでいました。


■多様なバックグラウンドの人材が集結
JCEJはデジタルジャーナリズムというテーマに継続的に取り組んでいます。2012年に開催した「ジャーナリスト・エデュケーション・フォーラム」では、データジャーナリズムのセッションを設け、マーケティングリサーチの専門家などが登壇。2013年の「ジャーナリストキャンプ福島」では、データジャーナリズムチームが福島県産農作物の消費状況のデータを分析しデータジャーナリズムで検証するフクシマの風評被害の虚実」という記事を発表しています。

JCEJの藤代裕之代表は「ジャーナリストキャンプ福島でも、他のチームの参加者からデータジャーナリズムチームへの反応が大きかった。個人が集まってお互いをリスペクトしながらひとつのものを作るというコンセプトがJCEJのビジョンにも合っていると思います」と今回の企画を立ち上げた理由を語っていました。

このキャンプの大きな特徴は参加者の多様性。これまでの「ジャーナリズム」と銘打ったイベントに顔を出すのはやはり、記者や編集者などのメディア関係者。違うイベントでも同じような顔ぶれが何度も集まるといったことがありました。ところが、キャンプでは職種を明示して募集したこともあって、多様な参加者が応募。各チームには必ず女性が1人以上入り、20代半ばの若手も複数いるなど、フレッシュな顔ぶれが集まりました。

■お互いを知ることから、リスペクトが生まれる
「お互いをリスペクトする」ことは、まずは違う職種の仕事の内容や考え方を知ることから。ということでキャンプは、自分と違う職種の講義を受けることから始まりました。講師陣の前に居並ぶ「猛者」たちの目は真剣そのもの。職種ごとに異なる「プロの考え方」に熱心に聞き入っていました。


デザイナーの講義を担当したのは「たのしいインフォグラフィック入門」の著者、櫻田潤さん。データを視覚的に見せる実際の事例を、制作過程などを踏まえて説明しました。雑誌「WIRED」で米大統領選を扱った記事で制作したインフォグラフィックでは、オバマロムニー両候補の選挙資金の額を全米地図の上に州ごとにプロットし、地域間での両候補の違いを選挙資金の面から浮き彫りに。その制作過程は「公開されている献金の数と金額の生データをcsvファイルで取得」「集計ソフトを使って州ごとに合算」「州の名前と緯度経度データを別途取得してマージ」「全米地図上にプロットして成形」という流れ。櫻田さんはデザイナーがデータジャーナリズムに取り組む際の注意点として「グラフィックを作るという"狭義の"デザイナーとしてではなく、早い段階で全体の構成に積極的に加わることが大事。ジャーナリストが描いたストーリーの通りにならない場合もありますし、データの出方によってはデザイナーが結論を覆すこともあります」と話していました。


■テーマはどう見つける?「出会うんです!」
ジャーナリストの講義を担当したのは法政大学教授の水島宏明さん。札幌テレビと日本テレビで長く貧困報道に携わった水島さんは、1987年に自身が制作した生活保護問題をめぐるドキュメンタリーの映像を見せた上で「この報道を通して、自分が会社員ではなく『ジャーナリスト』であるということを強く自覚したんですね。『小さな声』を拾うことで、大きな社会の問題を提起することができる。『自分がやらなきゃ誰がやる』と燃えていました」と熱っぽく語りました。

参加者からの「ジャーナリストは自分が取材するテーマをどのように見つけているんでしょうか」という問いには「出会うんです」ときっぱり。日ごろから関心が高かったり、アンテナを高く保っていると自然と社会問題のタネとなる「小さな声」にぶつかるのだと言います。見過ごしてしまいそうな小さな事実でも、感度の高いジャーナリストであれば社会問題の端緒として掴むことができる。その瞬間を水島さんは「鉱脈にあたる」と表現していました。

講義を終えた櫻田さんは「普段、デザイナーやエンジニアとは一緒に仕事をしますが、ジャーナリストやアナリストとは絡む機会は少ない。こういう機会はもっとあっていいと思います」。「データジャーナリズムの定義がはっきりしない中で、参加者の中にも理解度に差があると思います。土壌が上がってくればもっと深い話ができるのではないでしょうか」と今後を展望していました。




キャンプは後半、いよいよチームごとに分かれて「アイデアソン&ハッカソン」へと進みます。熱気あふれる続きは後編で・・・
(伊藤 儀雄)

ジャパン データジャーナリズムアワード2013の参加者募集中!

キャンプで取り組んだプロジェクトを含め、データジャーナリズムの優秀な作品を表彰する「ジャパン データジャーナリズムアワード2013」は、12月27日(金)19時から開催します。出品者及び、会場で出品者のプレゼンテーションを見て作品への投票をして下さる参加者を募集しています。
出品を希望される方はこちらのフォーム
投票に協力して下さる方はこちらのフォーム
から、詳細をご確認の上それぞれお申込み下さい。出品の締切は12月25日(水)ですので、お早めにご応募下さい!