#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

不安や怖れを乗り越えて、被災地を伝える  大槌学生インターンの活動報告会を開催しました!

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は9月21日、夏の学生インターンプログラムの報告会を都内で開催しました。
被災地に行くのが不安」「現地の人とどう接すればいいの?」現地に赴く前、プログラムに参加した計6人の学生からは、口々にそんな言葉が。活動を通じて大槌の人々の温かさに触れた一方、自分の中にあった固定観念や、被災地を取り巻く複雑な現状の中で感じた"ざらざら"した部分―― 彼らが肌で感じたことを共有しながら活動を振り返り、被災地からの情報発信についても議論しました。

■「被災者」というレッテルに気付く
8月19日から5日間参加した柳卓知さん、鵜沢佳南さん、竹田幹さんは、大槌に行く前から感じていた不安は現地に行ってもすぐには拭えなかったといいます。自分たちなりに理解しているつもりでも、震災を実際に体験したことがなく、ちゃんとした知識もないのに震災の話をして失礼にならないか・・・
しかし色んな人と交流するにつれ、「大槌の人たちも1人の人として生きているのに、"被災地・被災者"というくくりで語ることに疑問を感じた」と柳さん。現地の人とどう接すればいいのか分からなかったという3人ですが、「被災者」という見方を超えて「1人のおじいちゃん、おばあちゃん」として話をするようになってから、徐々に大槌の方々と打ち解けるようになったそうです。


8月5〜9日に参加した小林実央さんは、仮設住宅に住むあるおばあちゃんが、自宅で暮らす友人に「(暮らしぶりや振る舞いが)仮設っぽいね」と言われたことにとてもショックを受けていた、というエピソードを紹介しました。家族や家を亡くし仮設に住む方もいれば、住宅の被害は免れた方もいる。「被災地」と言ってもそこに住む人々の状況は一様ではなく、そこから生まれるわだかまりや、必ずしも「被災地」の人々が同じ思いを共有している訳ではないこともあるのだと、現地に行ったからこそ肌で感じたといいます。


■大槌に自分の「特派員」ができる
夏のインターンの目標の1つは「大槌に情報発信の種をまく」。報告会後半のディスカッションでは、インターン生が現地で開催した写真教室の活動報告を踏まえ、被災地からの情報発信のあり方についても意見が交わされました。

大槌での活動中、各チームとも夜遅くまで話し合いを行いました。チームによっては「情報発信とは何か」という議論も出ていましたが、写真教室をどうしたらスムーズに進められるかということに焦点がいき、どうすれば撮った写真や情報をもっと発信していけるかという工夫については、課題が残りました。

参加して下さった弁護士ドットコム編集長の亀松太郎さんは「学生が言う『情報発信』という言葉が具体的に何を示すのかが分からなかった」と指摘。学生が開いた写真教室について、「TwitterFacebookに、現地のおばあちゃんが自分で写真をアップするのは難しい。撮った写真をもらって自分のアカウントでつぶやき、これが情報発信なんですよ!ということを示しても良かったのでは」とアドバイスしました。また、現地の人とメールアドレスを交換して写真や現地の様子を伝えてもらったりすれば「大槌に自分の特派員がいると考えることもできるのでは」と話しました。

被災地への漠然とした不安
インターン生は報告会に先立ち、情報発信の一環として活動報告を書いていましたが、JCEJの藤代裕之代表は「報告ブログを読んだとき、感じたことを表現するのを何か怖がっているようなイメージがあった」と言い、「なぜ被災地に行くことが不安なのかを考えることが大切」とインターン生に伝えました。
柳さんは、復興という言葉一つを取っても「進んでいる」「遅れている」など様々な見方をする人がいること、津波で多くの職員が亡くなった旧大槌町役場を残すかどうか両論があることなどを通じて「物事には、必ず反対の感じ方や意見があることを痛感した。(複雑な側面を持つ被災地の現状について)どのように表現すればいいのかすごく悩んだ」と明かしました。

それに対し藤代代表は「こんなことを書いたり、聞いたりしたらとんでもないことが起きるのではないかという恐れがブレーキをかけてしまう。だけど、その怖さや不安を表現するにはそれを超えていかないといけない。怖いと思うことは第一歩だけど、怒られたり泣かれたりしたことが長いスパンで見たとき良かったと思えるのでは」と話しました。
「それを超える勇気と相手へのリスペクトを大事にして、自分の中で消化していってほしい」とインターン生にメッセージを送り、報告会を締めくくりました。


また、報告会の後は、今年5月に開催したジャーナリストキャンプ福島2013のデスク、参加者に大槌インターンの学生も加わり交流会が開かれました!多くの方にお越しいただき、日付が変わるぎりぎりまで話が盛り上がりました。
今回参加していただきました皆さん、本当にありがとうございました!

(JCEJ学生運営委員・石井 俊行)


<学生インターン2013夏・活動報告はこちらから>