#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)の活動を紹介しています!

本当に伝えたいこと、伝えられるのは当事者 学生インターン2013夏・活動報告(3)

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が8月に行った岩手県大槌町での学生インターンの活動報告第3弾は、法政大学2年の鈴木智宏さんによるレポートです。大槌に降り立った初日、鈴木さんの目には「雑草だらけの空き地」としか映らなかった住宅地跡。現地の方との交流を通して、どう見えるようになったのか。情報発信の意義も、大槌での5日間で再確認することができたそうです。

私が大槌町で写真教室を行うインターンに応募したのは、「震災直後にメディアで報道されていた『被災地』の今を自分の目で見てみたい」という理由からでした。私が初めて夜行バスから大槌に降り立った時は、「本当にここは『被災地』なのか」という印象を持ちました。着いたばかりの初日は「ここにも建物があったんだよ」と雑草が伸びきった場所を指しながら言われても、正直パッとしなかったのを感じました。しかし、実際に大槌の住民の方のご厚意で寝泊まりをさせていただき、話を聞き、自転車で大槌を走り回っているうちに、ここは確かに震災被害を受けた土地の一部なのだと徐々に実感することが出来ました。



特にきっかけとなったのは、津波で流される前は家があった場所に、行方不明の家族に向けたメッセージが書かれているのを見た時です。自分には雑草が伸びているただの空き地に過ぎなかった場所も、そのメッセージを書いた人にとっては家族と過ごした場所であり、まだ家族の捜索も終わっていないのだと初めて知りました。

今回のインターンで印象に残ったのが、初日の写真教室で「記事に記者の方の願望が入りすぎている。それさえなければいいのだけど」という声が大槌の人々から聞こえた事です。少しその言葉が気になっていた自分は3日目にフリーライターの結城さんの取材に同行した際に「記事を書くときに自分の感情はどうしていますか?」と質問をしました。



結城さんは「できるだけ感情は入れないようにはしている。けれど、取材をしてそこから切り取って記事を書いている時点で少しは自分の感情が入っているのかもしれない」と話してくれました。なるほど、と思いました。どんなに記者の方が努力をしても、感情は少なからず入ってしまうのだと。同時に、今回のインターンの目標だった『大槌に情報発信の種をまく』ことの意義を自分の中で再確認出来た気がします。本当に伝えたいことは誰かに伝えてもらうのではなく、自分自身で発信しなければ伝わらない場合もある、そんな風に感じました。



今後ますますメディアでの震災報道は少なくなっていくのかもしれません。その時に被災地の方が自分自身の言葉で情報発信を担っていく事が、震災で起こった出来事を自分達が忘れないためにも重要になっていくと思います。今回、仮設住宅を回り行った写真教室で、情報を記録する楽しさを多くの方に知ってもらうことができました。自分達の小さな活動が大槌での情報発信のきっかけになればと思います。
(学生インターン・鈴木 智宏)

<関連リンク>
強く感じた「震災を伝える思い」 学生インターン2013夏・活動報告(1)
思い込みに気付いた「今でしょ!」 学生インターン2013夏・活動報告(2)

学生インターンの活動報告はJCEJのフェイスブックページでもご覧いただけます。