日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は3月、運営に携わっている「大槌みらい新聞」のKindle版を出版しました。英語と日本語の2バージョンを用意して、海外の方でも読めるようにしました。
大槌みらい新聞は、2012年8月に立ち上げて以降、地元夕刊紙が廃刊となり情報を失った大槌町で、大槌に関する情報の発信と、町民の方々自身の情報発信力を高めるためのサポートに取り組んできました。その一環として、全国各地からボランティアで集まった記者の方たちが、津波被害に遭った町民の当時の状況を「聞き書き」としてまとめています。
「山さ逃げた。津波を後ろにして逃げたんだ」
「私ら結局、遅かった。もっと危機感がすごくあれば」
「すぐ逃げなさいと言っても、それが簡単にできない理由があるんだと思う」
どれも津波被害に遭った町民の方々の実際の言葉です。避難所へ向かうのに身だしなみを気にしていたことを語る方もいれば、逃げなくてはと思っても、家族を家においていくことができなかったことと語る方がいます。
「話すのは一度でいいな」「本当は思い出したくもない、それでも、後々のために」「振り返ると恐怖を感じることもある」と絞り出すように託してくれた言葉を、細部の表現まで記録しています。
2011年3月11日、大槌町で何が起きたのか、町の人々はどのような光景を目の当たりにし、どう考え、どう行動したのか。そして、私たちが今後、支援や防災対策としてできることは何なのか。11人の大事な証言をこのKindle版に収録しています。
英語版の出版にあたっては、28名の方が日本全国、世界各国から英訳ボランティアとして協力して下さりました。
津波証言のほかに、震災から前へ進もうとする大槌の方々の生き様を伝える10人の「トップストーリー」、大槌の復興に向けた課題を掘り下げた「検証復興への道」(※日本語版のみ)、これまで発行した大槌みらい新聞の紙面「新聞ライブラリ」も収録しています。
Kindle版の売上は「大槌みらい新聞」の活動や、大槌での情報発信ワークショップなどに充てます。
Kindle端末を持っていなくても無料のKindleアプリをダウンロードすることで、iPhone、iPad、androidスマートフォン、タブレット端末などでもご覧頂けます(詳細はこちら)
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