#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

大事なのは「理解できない人を理解するための想像力」大学生が学んだプロの技

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)が10月21日に開催したライティングワークショップの様子を、神奈川大学の近藤恵子さんにレポートして頂きました。
【概要はこちらから】

今回、JCEJさんが開催するワークショップに初めて参加させていただきました。私は昔からジャーナリスト業・ライター業に興味があり、取材し記事を書いて、新聞や雑誌を媒体に発信している団体を記事のジャンル問わず探していました。探していく中で「大槌みらい新聞」を発行しているJCEJさんに行き当たり、メッセージを通じて今回のワークショップに参加させていただきました。このような形のワークショップに参加するのは初めてで、とても緊張しましたが、総じてとても貴重な経験をすることが出来ました。拙い文章ですが、今回のワークショップの感想を書かせていただきたいと思います。


全体を通して一番驚いたのは、最後にやった「大槌みらい新聞の記事を三つの雑誌風に書き換える」という作業で、皆さんがあんな短時間で雑誌編集者の立場になり切ったということです。

このような経験が初めての私はとにかくその雑誌の特徴を掴むのに必死で、実際に書き換えるまでに行き着きませんでした。私はプロのジャーナリストの方に出会ったのも今回が初めてで、うまく言えないのですが、皆さんのようなプロの方は「変換する作業」を「変換する」という心持ちでやっていないのかなと思いました。
藤代さんが繰り返し「頭が柔らかくないと出来ない」とおっしゃっていて、それは「頭で考えるけれども頭で考えない」ということかも知れないと漠然と感じました。当たり前のことですが、思考の組み立て方というかプロセスが素人とは全く違うという印象を受けました。

あと、細かいことですが皆さんの話を聞いていて個人的に感動したのが「メンズナックルは地方読者が多そう」という意見と「ナンバーの「。」で終わる形は「モーニング娘。」みたいなことですね」という意見です。何故感動したかというと、「地方読者が多そう」「「モーニング娘。」ということ」の一言で全てが伝わったと感じたからです。
「何故メンズナックルは地方読者が多そうだと感じるのか」ということを緻密に言語化してしまうと何となく風化してしまうような気もします。これらのことから私が思ったのは、僭越ながらこういう職業には客観的分析が何より大事にも関わらずそれ以上に洗練された勘が大事ということです。それは先ほど書いた「頭で考えるけれども頭で考えない」ということに繋がっていて、きっとその能力は経験しなければ養えないものだと感じました。フィーリングの話をしているのに確かな客観性があるということは圧倒的なプロフェッショナルであり、鋭い客観的視点と斬新な主観が皆さんの中でどう組み立てられているのかが私からは全く想像もつきません。

最後に、とても深いと思った言葉について。「世の中にそういう人もいるんだということを想像出来なければこの仕事は出来ない」という言葉に心打たれました。ある意味常識という枠を取っ払わないといけないが、もちろん常識的・一般的視点もないといけない。大事なのは想像力。けれどもおそらくそれは「漠然と予想する」ということではないと思いました。
「そういう人がいるということを想像しなければいけない」というのは、「自分では全くその人を理解出来ない」という状態から「そういう人もいるんだと想像し理解する」という状態に帰着するということだと思います。でも、帰着するまでのプロセスは一体どういうものなのでしょうか。私なりに、それは「漠然と予想する」ということではなく、妙な言い方ですが「理解出来ない人」の思考や感覚に自分の感覚神経が通るということなのかなと思いました。

今回は貴重な勉強をさせていただき、本当にありがとうございました。内容とは関係ないのですが、私は学生なので社会に出て働くということがどういうことなのかわかっていません。ですが今回ワークショップに参加させていただき、意見を出し合う中で皆さんは自分の言っていることにきちんと裏付けされた自信がある上で発言されているのだなと思い、社会人とはこういうことなのかと学びました。今回のことをきっかけに、もっとこれから社会人の方と関わっていこうと思いました。同時にもっと本を読んで知識をつけ、また外に出て行って視野を広げようと思います。またこういった機会があればJCEJさんのワークショップにも参加させていただきたいです。今回は本当にお世話になりました。また今後ともよろしくお願いします。
神奈川大学・近藤恵子)

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