日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、10月21日(日)豊洲区民館で、ライティングワークショップを開催しました。今回のワークショップは、進行役をJCEJ代表運営委員の藤代が担当、あらかじめ用意した3冊の雑誌の特徴を把握し「大槌みらい新聞」第2号のトップストーリーである映画「槌音」を制作した大久保愉伊さんの記事(まだ大槌の人には見せられない 映画「槌音」を制作した大久保愉伊さん)を題材にして各雑誌風に見出しをつけました。あくまでトレーニングであり雑誌風の見出しや内容については、記事を反映していないものもありますのでご注意下さい。
■雑誌の特徴を見つけ出せ!
題材として用いられたのは、『an-an』(集英社)、『メンズナックル』(ミリオン出版)、『Number』(文藝春秋)の3つの雑誌。最初の課題は、参加者は雑誌ごとに3つのグループに分かれ、雑誌の特徴をまとめました。約15分の話し合いの末、以下のように想定しました。
<an-an>
- 対象は働いていて、かつ未婚の女性
- インタビューは男性が中心で、写真を前面に押し出している
- テキストが長いので読者の偏差値は高そう
- 占いやこころがけ、幸運の掴み方、の内容が多いことからキーワードは「他力本願」
<メンズナックル>
- 対象は20歳前後の男子。地方読者が多そうで、踊れないEXILEのような感じ
- ナルシスティックなところがある(ex かっこいい俺に惚れてみろ)
- 文章が少なく写真中心。キャッチコピーが特徴的
- 黒が多く、ワイルドでアウトロー
<Number>
- 人にフォーカスを当てた構成になっている。記事は選手の言葉から入ることが多い
- 派手なキャッチコピーなどは無く、シンプルな形が印象的で、全体的にクール
- 見出しが体言止めであったり、最後にわざわざ句点がはいったりしている
- 写真は色をコントラストが強めで、人物の場合は後ろをぼかした形で黒い
続いて、まとめられた特徴をもとに、大槌みらい新聞第2号のトップストーリーに掲載された大久保さんの記事を各グループ担当の雑誌風にすることが課題になりました。各チーム試行錯誤をしながら、レイアウトや見出し・写真について、どうやったらその雑誌のようになるかを話し合いました。『an-an』チームは、働く女性に対する見出しを考えるのに四苦八苦していましたが、隣の『メンズナックル』チームは、盛り上がっていて、外に写真を撮りにいくなど、順調に進んでいる様子。対する『Number』チームは、静かに淡々と進めている様子でした。
いよいよ各チームの発表となり、『an-an』チームからのスタート。
■キーワードは他力本願(an-anチーム)
最初に発表した見出しは『恋も仕事も思い通りに〜映画に学ぶ自分演出法13か条』でした。しかし、藤代から1つ指摘がありました。「これはテーマとしては面白いけれども決定的な間違いがある。自分でやることになっている。キーワードの『他力本願』が生かされていない」。そこで「他力本願」に合った見出しにするにはどうしたらいいのか、議論が行われました。
「映画を見るだけで分かるとか、そんな感じかな」「分かるというだけで、啓蒙的な感じがする」
↓
「思い通りになる映画?」「恋も仕事も思い通りになる映画?」「『an-an』において仕事というのはあまり重視されないのではないか」
↓
「すごく端的に言うと『見たら幸せがやってくる映画』が良いと思う」「幸せになる映画」「見たら幸せになる映画?」
こうして、最終的にまとまった見出しは『見るだけで幸せになる映画13選』となりました。
■『俺、刻む』=ワイルド(メンズナックルチーム)
〈見出し〉俺がキャメラなのか?キャメラが俺なのか?
ワイルドモンスターの前に世界はひれ伏す
ムービーに刻まれた俺の過去
藤代は「ムービーに刻まれた俺の過去というのがすごく良くて、『メンズナックル』のキーワードを押さえている。『俺、刻む』=ワイルドが出ていて、大久保さんは『僕』というタイプだと思うが、メンズナックルの俺様的な感じがすごく出ている」と述べ、あまりの特徴をおさえた見出しに、周りからは「お〜!」という声が飛び交っていました。特に、写真が好評でした。また、このチームはブランドとコラボした雑誌の付録として、大久保さんのイメージでデザインしたスマホのケースを再現していました。このケースのコンセプトは「カバーしきれないワイルドさ」とのことでした。
〈見出し〉絶対スマホ主義 大久保帰還。
「スマホで撮れないものはない」
2011年3月24日――
すべてが失われた大槌。
そこに降り立った大久保の手には、愛機ギャラクシーSがあった。
『Number』チームはレイアウトもパソコンで実際に作っており、このチームも、見出しが発表された瞬間「すごい!」と盛り上がりました。
最後に藤代から「ニュースメディアにとっての『普通』は、『an-an』や『メンズナックル』にとっての普通でないかもしれない。今日取り上げた雑誌には読者がいて、コミュニケーションが成立している。自分たちの常識や手法と違うからといって切り捨てたら、伝わる幅やターゲットが狭まってしまう。多様な表現方法を知ることで表現の幅が広がる」とまとめがありました。
また、「大槌みらい新聞では、記事や写真も色々なバリエーションを試したいので、興味がある方は、ぜひ参加してほしい」と呼びかけました。今後、2回にわたって、参加した方のレポートを紹介しますので、ぜひご覧ください。なお、今回のブログのタイトルはメンズナックル風に考えて作ったものとなっています。
(学生運営委員・庄司 智昭)
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