#JCEJ 活動日記

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「忘れられない100円玉」大槌みらい新聞学生インターン感想

日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)は、岩手県大槌町で新たな地域メディア大槌みらい新聞」を学生インターン15人と共に立ち上げました。2ヵ月間、学生インターンは交代で1週間から2週間ほど大槌に滞在し、炎天下のなか自転車をこぎながら仮設住宅などをまわり、何もないところから活動拠点の整備、取材のネットワークをつくり、「大槌みらい新聞」の基礎を作ってくれました。3日連続で学生インターンの感想をお届けします。1日目は早稲田大学大学院の渡辺大洋さんです。

震災以降、「ヒサイチ、ヒサイチ」とたくさん聞けど具体的なイメージが浮かばずにいた。歩いて大槌トンネルを抜けると、仲間が「あそこが拠点です」と大槌北小学校を指さし、福幸商店街が併設されているのが見えた。目線を少し戻すと普段東京暮らしをしている自分の目には清流と映る小鎚川が流れている。朝7時過ぎの澄んだ空気と相まって、清々しかった。
 
 「案外綺麗だな」と思うのも束の間。右に海側を見れば、廃墟となった大槌病院と一面の更地が広がっている。清々しい気持ちと現実が相容れず、不思議な気分にさせた。左には立ち上がりつつある大槌があり、右にはとりあえず瓦礫撤去された土地が並ぶ。これが震災から一年半しか経たない被災地の姿なのだと理解した。

個人的にインターンで思い出深いのは、ショッピングモールマストでのやり取りだ。ある町民の方から大槌みらい新聞の創刊号(ウェブサイトからPDF版がダウンロードできます)が「欲しい」と言われ、立て続けに「んで、これいくらだ」と言われた。普段、新聞を配っていると「ありがとう」とは言われるものの「これいくら」と聞かれることは皆無に等しい。

定価50円*1だと伝えると、「ん?100円払うぞ」と2倍嬉しいお言葉を頂いた。朝日新聞でさえ40面あって150円。それを4面の新聞に100円支払ってくれるだなんて!
結局、小銭がないということで100円玉を頂き、お釣り50円を手渡した。なんとなく頂いた100円玉は財布の中の小銭と混ぜるのが嫌だったので、その場でメモ帳を破り、包んで拠点に持ち帰った。

そのときの100円玉が今でも忘れられない。被災地で得た、立ち上がろうとしている方から、自発的な申し出により頂いた100円。ニュートラルな存在のお金にそんな想いを入れ込んでしまう。経済学ではお金は労働の対価だとさらりと言ってのけるが、より精神的に自分たちの活動が承認されたようでとても嬉しかった。 

海岸清掃のボランティアのように景観を綺麗にすることはできないが、新聞をお届けすることで町民の方々を笑顔にすることはできた。文字の小ささに関しては苦言をありがたく頂戴することもあったが、町民の笑顔が一ヶ月分写る町民カレンダーは好評であった。「○○さん、生きてたんだ。良かった」との声を聞くことが少なくなく、それだけでも自分が頂いた100円玉以上の価値は提供できたのではないかと感じている。
名前を聞きそびれましたが、あの時100円を支払ってくださった男性の方、ありがとうございました。
早稲田大学大学院・渡辺 大洋)

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*1:大槌みらい新聞は大槌町内に無料配布を行っていますが、フリーペーパーではなく新聞として今後活動してくことを想定して定価が設定されています