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JCEJ×GLOCOM「データジャーナリズム実践 データから社会問題を発見する」参加者報告 vol.2

7月28日に開催したJCEJ×GLOCOM「データジャーナリズム実践 データから社会問題を発見する」の参加者報告の第二弾を、野上佳織さんに書いて頂きました。

【イベントの概要】

【参加者報告】

私は情報に付加価値を付けて提供するビジネスに携わっています。
そのため、「いかに情報に最大の価値を付けて、サービスとして提供するか」を考えるとともに、私自身が使う立場でもあることから情報の効果的な活用法を常に意識しています。

最近オープンデータの存在や積極活用の動きに触れる機会が多くなりました。
身近なところだと、昨年の東日本大震災での電力需給量のデータや、放射線量のデータ、避難所や交通状況のデータの重要性が注目されました。更にバズワードである「ビッグデータ」という文字を見ない日はありません。
いかにして公やその他のデータを利用、分析、活用していくかということが官民含め関心事となっています。

そんな中まさにタイムリーでワクワクするような今回のイベント。
「オープンデータ」×「データジャーナリズム」のコラボレーションです。

最初にGLOCOM主任研究員の庄司さんから「オープンデータについて」の説明がありました。
政府における取り組みやスケジュール、海外における利用事例。オープンデータの可能性や政府が本気でオープンガバメントとして情報を戦略的に公開、民間における利活用に向けて動いていること、それは一方的な動きではなく、行政と民間とが有機的に連携をしながら作り上げていく必要があることが良く理解できました。ただ、どのようにデータを活用するかの本格的議論はこれからであり、活用方法なども
まだ決まっていないとのことでした。

そこでJCEJ藤代さんの言葉が鋭く響きます。「我々がどんなデータを利用したいか、どう活用したいかを積極的に提案して声を大にして訴えていかなければならない」
利用者不在のまま進んでしまい、使われないデータやシステムが残る事態は避けなければいけません。ポイントは公開だけではなく活用にあることを再認識します。

次にJCEJ赤倉さんによる「データジャーナリズムの最新動向」の説明です。

実は私はデータジャーナリズムに対してある疑問を持っていました。私自身日頃の業務でデータを加工するには技術や経験が必要であること、また分析においては専門的な知識が必要となることを日々感じています。ジャーナリストだけでは限界がある部分にはどう対処するのだろう?と思っていたのです。その答えは赤倉さんが示すデータジャーナリズムのポイントの(1)にありました。

(1)「チームで行うこと」
ジャーナリストやアナリスト、エンジニアが加わっての共同作業です。それぞれの専門や得意分野によりチームで解決していくこと。

(2)「読者目線で」
分析結果は読者が分からなければ意味がありません。可視化の方法も非常に重要です。

そして最後に
(3)「とにかくやってみる」

最後の呼びかけはその前のオープンデータにおける現状にも通じます。いずれも現在フロンティアなのです。だからチャンスがある、とにかくやってみよう! 早速やるべし!
との流れで午後のワークショップのテーマが発表。速やかにチーム編成(もちろんジャーナリスト、アナリスト、エンジニアの組み合わせ)が行われて自己紹介を兼ねた昼食と午後のワークショップが始まりました。

私たち「チーム復興」は、ジャーナリスト役の福場さん、山田さん、アナリスト役の小木曽さん、西沢先生、エンジニア役の私の5名となりました。皆さんプロフェッショナルとしての背景をお持ちで、大変刺激的な出会いとなりました。

昼食の場で、最初にジャーナリストの福場さんが今週発売の週刊ポストに掲載されているご自身の記事のお話をしてくださいました。復興予算の使われ方にふと疑問を持ち、そこから予算の用途のデータが開示されていることに気がついたこと。それは何とも不可解なことに使われていること。その後データをExcelで加工し、まとめ、実際に当事者に取材に行く。最後に記事に仕上げたこと。
それはまさにデータジャーナリズムのひとつではないか、と感じました。加えて福場さんのエネルギッシュなオーラもあり、お話はとてもエキサイティングな内容でした。私たちもそのデータを見たい。ここで漠然とテーマの方向性が決まります。

ムードメーカーの山田さん進行の元、ディスカッションが始まります。まずは問題意識。どのようなデータがあれば良くて、何を表現したいのか。
実際にデータを皆で探したり、話が進んでいくうちに、問題は本当に必要としているところに予算が使われていないということにあるということ。
なぜそんなことが起こりえるのか、明確に示すためにはどうしたら良いか、被災地における要望の件数と達成率、消化予算の状況などがあると分かりやすいのでは?
そこで西沢先生が「Recovery.govのイメージだね」と指摘。更に通りがかった庄司さんよりその日本版の構想があったことと「それは復興メーターとも言えますね」というコメントが。

その後他のチームの偵察タイムを経てまとめへ。小木曽さんの鋭い指摘による軌道修正を経て、最後の実装方法に悩みます。とにかく分かりやすく伝えるようポイントを絞ることに。発表内容のポイントは以下の通りです。

・テーマ「復興予算は必要なところで使われているか」

・データ 「需要側は都道府県、市町村からの要望といった情報や復興交付金の申請。供給側は、復興交付金の実施計画や東日本復興支援各
明細書」

・何がニュースか 「復興増税復興交付金の名のもと適切に税金が使われているか
(→そうではないものもあるのではということ!)」

・他、ビジュアルでの表現内容としては「地図でみせる」、「税金の投入額」、
「定性的な要望と実際との比較」、「交付金の査定結果」など。

最後締め切り時間が迫る中、西沢先生の巧みな絵とリードにより仕上げることができました。

各チームのテーマ、発表や表現方法はどれも多彩で、それぞれの背景を持つ専門家が集まり力を合わせることにより、初対面でかつ短時間でもここまで出来るのだということに感心するとともに、「とにかくやってみる」ことの重要性を感じました。

他に感じたこととしてはやはり問題意識が重要であること。いまだに福場さんの言葉が心に残っています。
「復興予算はどのように使われているか?そう思いついて、Googleで探したらデータは全て公開されていた」
なかには入手が容易でないデータもあるかもしれません。ただこのお話からは問題意識となるきっかけや、私たち個人の素朴な疑問や独自の視点が大切であることが理解できます。日常を生きる私たちの中に問題意識の種は多く眠っているはずです。

最後に「これで終わりにしないでください」との呼びかけが。そう、まさにオープンデータもデータジャナリズムも始まったばかり。「復興メーター」だって実現できるかもしれない。引き続き歩み続けようと思います。
(野上佳織)

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