6月16日(土)に、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)ではワークショップ「自分ブランディングの実践:ソーシャルメディアで『自分』を表現しよう!」を行いました。講師はブロガーのイケダハヤトさん。([Twitter] @IHayato)ソーシャルメディアで生じた変化や「自分ブランディング」についてイケダさんから講義があった後、あるNPOが作成した助成金申請のためのプレゼン資料改善を通して、人に魅力をどのようにアピールするかを学びました。
■「自分ブランディング」が必要な時代になりました
多くの人たちがソーシャルメディアを活用して、様々な人とコミュニケーションできる時代になっています。そのようななか、どうすれば自分を相手にうまく伝えることができるのか、という課題は多くの人が抱えているのではないでしょうか。
イケダさんは「自分ブランディング」について、自分の考えを伝え、共感してもらい、さらに集まってもらうための手段だ、と言います。そして、イケダさんは、ウェブ上で自分をアピールする際、「問題意識」をもって、上手に伝えないといけないと言います。そのとき、大事になるキーワードが次の4点になります。
- 「問題意識」
- 「伝え方」
- 「デザイン」
- 「自分を殺す」
■あなたの「怒り」= あなたの「問題意識」
まず、イケダさんは、何かを伝えたいと思う大事な感情に「怒り」を挙げました。例えば、イケダさんの「怒り」は、世の中に伝える価値のあるものが埋まっていることです。人間ひとりひとりにおもしろいコンテンツがあるのに、浮き上がってこないのはもったいない。だから、ライターやマーケティングを支援する立場から、年間100団体へコンサルティングを行ったり、50本以上の記事を書いたり、しているそうです。
イケダさんは同じように誰もが「怒り」をもっていて、それぞれ違うと言います。イケダさんの知人のデザイナーは、リモコンに対してボタンが多すぎると怒り、障がい者支援をしている人は、町を歩くとあまりにもバリアフリーになっていないと怒っていたといいます。
このように何かに対する「怒り」は「どうしてよくならないのか」という「問題意識」を生みだします。
■伝えるコツは「シンプル」と「ビジュアル」
しかし、オンライン上では、どれだけ「問題意識」をもっていたとしても伝わりにくいものは意味のないものとなってしまいます。
例えば、文字の多いホームページ。たくさんの情報がありすぎてどこをクリックすればいいのかわかりません。また、原色を使用した派手なホームページも、場合によってはうさんくささを演出してしまうこともあります。
そこで、イケダさんは伝えるコツに「シンプル」であることと「ビジュアル」のよさの2点を挙げます。
イケダさんが例に挙げたわかりやすいホームページは次の3つです。
ごちゃごちゃしておらず、目でみてすぐわかるものが伝わりやすい。そして、ターゲットを明確にして、どのようなアクションをしてほしいのか、を伝えるデザインにしなければいけないようです。
■「これはおかしい!」の共感で人が集まる
「問題意識」をわかりやすく伝え、誰かが勇気をもって声を挙げると自然と会社といった組織を超えて「これはおかしい!」と感じている人が集まるようになります。
イケダさんは、例に大元隆志さんを紹介しました。
彼は、フェイスブック上で、日本のスタートアップ企業に光を与えたいという問題意識のもと、イベントをプロデュースしたいと発信しました。すると80人ぐらいのイイネ!やコメントが並びました。コメントのなかには「わたし会場を提供します」「ボランティアスタッフをします」「企業スポンサーやります」といった具体的な支援を表明するものもあったといいます。
■好きなことを続けるために「自分を殺す」
最後に、イケダさんは、さらに次のステップについて、芸術家の岡本太郎さんの言葉を用いて「自分を殺す」と表現しました。
問題意識を明らかにすると、多くの人が共感する一方で、そうでない人も出てきます。そのなかには、今までファンだった人もいます。イケダさんは、あるとき、あたりさわりのない言葉を選んでいる自分に気づき、はっきりと書きたいことを書くようにしたそうです。すると、ファンだった人から「応援がしづらくなった」といった反応もあったそうです。
好きなことを追求する以上方針を変えなければならないことがあると、イケダさんは言います。まるで脱皮をするように自分を殺して新しい自分を求めるなかで、ファンが離れたり、新しくファンができたりといったことを繰り返さなければいけないそうです。
講義の後、参加者で4人ないし5人1組になって、あるNPOが作成した助成金申請のためのプレゼン資料について、改善点の洗い出しと改善方法について議論しました。議論に用いたのは、薬による治療を必要としないうつ病の人々を支援する団体のホームページ。どうすれば助成金をえることができるか、というゴールを設定しグループごとに発表しました。
発表では、
- 専門家がどれくらい関わっているかわからない
- 助成金がどのようなプロセスで何人にいくら必要なのかわからない
- 裏付けのデータがない
- 主題がわかりにくい
といった意見が挙がりました。
<関連情報>
- イケダさんのTwitterアカウント @IHayato
- イケダさんのブログメディア ihayato.news
- ワークショップ「自分ブランディングの実践:ソーシャルメディアで『自分』を表現しよう!」を開催します
(学生運営委員 福武亨)