#JCEJ 活動日記

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalists)の活動を紹介しています!

「ウェブサイトのお知らせをわかりやすく書くワークショップ」を行いました

12月17日(土)に日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)では、「ウェブサイトのお知らせをわかりやすく書くワークショップ」を行いました。

講師はACADEMIC RESOURCE GUIDEの岡本さん。ヤフー株式会社での勤務経験がある岡本さんから、「Yahoo!知恵袋」のお知らせを書いていた経験を生かした、実践的なレクチャーをしていただきました。その後、参加者が実際にお知らせを書く実習を行いました。



岡本さんが使用した講義のスライドはこちらからご覧いただけます。ご参照ください。

まず始めにそもそもお知らせとは何か?という問いかけが岡本さんからありました。
お知らせの要件とは、まず一つ目に、これくらいはわかるだろうという予断をもって内容を省いたりせず、伝えたいことをすべて書くこと。
次に、伝えたいことを必ずユーザーに伝えること。ここで、岡本さんは「伝える」=「伝わる」ではないので、一方的に伝達するのではなく、伝える工夫をすることが必要だと話していました。
最後に現在起きたことや報告の他に、サービスに参加しているユーザーのために、未来の予定を伝えること。また、過去を記録し、サービスを運用するプロバイダ内に覚えていくこと、知っておくことを伝えていくものにもなるそうです。

また、読みやすくするための工夫として、漢字づかいや数字の使い方、どういう言葉づかいをするかなど、用字用語ルールを定め徹底的に遵守することが重要、と岡本さん。プロの仕事として統一させることで、お知らせそのものの信頼度をあげる、とも話していました。

時間の表記にもこだわりがありました。「午前10時」という書き方では、午前だったか午後だったか忘れる可能性があるし「17時」、という書き方は5時と7時を取り違える可能性があるので、一定期間内にベストアンサーを選ばなくてはいけないYahoo!知恵袋の場合は、12時間表記で半日勘違いされるより24時間表記の方がリスクが少ないのではないか、と話していました。

最後に、わかりやすいお知らせにする三ヶ条を紹介していただきました。
一つ目に、取捨選択をせず、都合の悪いことや小さなことでも全部お知らせを出すこと。全部出すことによって、問い合わせのクレームが減り、コストのマネジメント的にも効率がよくなるそうです。
二つ目に、何がおきるのか、何が起きたのか知らせるということ。ユーザーがサービスを使う的の操作性や感覚、画面が変わる時などにいつまではこうで、これからはこうという時間関係を明示して伝える必要があるとのことでした。
三つ目に、省かないということ。専門用語や内部用語は手間を省かず言い換えること。普段の内部のやりとりから一切専門用語を使わないようにすることも大事だそうです。

この三つをきちんとした上で、お客様に対するメッセージなど、ユーザーコミュニケーションのプラスαをつけていくとよいとのことでした。
この後、実習として、神奈川県立図書館のお知らせYahoo!知恵袋の「知恵ノート」という新しい機能公開のお知らせをみて、どんな改善の余地があるのか参加者同士での議論を行いました。



参加者からは
・お知らせそのものの日付が書かれていない、いつからいつまでのことを書いているのかもわからない
・専門用語や内部用語が説明なしに使われている
・文体がカジュアルすぎる
といったような点が指摘されました。

いつ、だれに、だれがというメッセージのターゲットがはっきりしていないため、非常に分かりづらい情報になってしまっているということがわかりました。

最後の実習課題は、ツイッターの「アクティビティ」という機能追加のお知らせを書いてみるというものでした。(参加者が書いた課題はfacebookのイベントページに投稿されているので、ぜひご覧下さい!)

課題の中には、
「自分のアクティビティを非公開にすることができない」という説明を書き、お問い合わせのコストを減らすというビジネス上のポイントになるお知らせを書いたもの、
最初の一文で一気にアクティビティ機能の説明をしてしまうものなど、様々な点で工夫された「お知らせ」がありました。

岡本さんはまとめとして、正解はないが、ケースを集めて足し算すればよくなるというものでもない。ひとつの観点から徹底的に考え込まれて書かれていることならある程度伝わるのではないか。
100人の読者全員に理解してもらうのは難しいが、その中の2〜3割にきちんと理解してもらって広めてもらうこと、読めばわかるように、あるいは解説され読解される余地があるようにするのがお知らせの理想的な書き方ではないか、と話していました。

■最後に
岡本さんがメンバーとして活動している「saveMLAK」(東日本大震災被災した図書館や美術館などの復興を支援する民間のネットワーク)では、2012年1月6日に開所する「名取市図書館どんぐり子供図書室」への支援をしているそうです。現在図書館に設置する本棚購入のための「どんぐり募金」への寄付を募集されています。名取市の子供達へのクリスマスプレゼント、そしてお年玉として、ぜひ拡散などご協力をお願いします!(参考記事はこちら

*どんぐり募金の振込先は横浜銀行東海大学前支店 口座番号6032050「トウカイダイガクチャレンジセンター 3.11 セイカツフッコウシエンプロジェクト」。問い合わせは、東海大学チャレンジセンター推進室(TEL 0463-58-1211)まで。

(学生運営委員・木村 愛)